しんせいじえしせいちょうえん
新生児壊死性腸炎
早産で出生した低出生体重児の未熟な腸管に発生する病気
6人の医師がチェック 102回の改訂 最終更新: 2019.02.13

新生児壊死性腸炎の基礎知識

POINT 新生児壊死性腸炎とは

早産で産まれた赤ちゃんの腸に起こることが多い病気です。腸粘膜が未成熟であることや血の巡りの悪さなどが原因だと考えられています。生後5日目前後に発症することが多く、腹部の張りや血便、嘔吐、活気の低下などが主な症状です。新生児壊死性腸炎が疑われる人には血液検査や腹部レントゲン検査、CT検査が行われます。死亡することもあり、早期の発見が重要です。新生児壊死性腸炎は新生児科や小児外科で検査や治療が行われます。

新生児壊死性腸炎について

  • 早産で出生した低出生体重児の未熟な腸管に発生する病気
  • 以下のことが原因と考えられている
    • 腸管粘膜の未熟性
    • 血液の流れの障害
    • 細菌感染
    • 経腸管栄養の負荷
  • 1000人に1〜2人
    • 極低出生体重児超低出生体重児の3〜7%
  • 病態の進行により以下の3つにわけられる
    • 1期(初期):体温の変動、無呼吸、徐脈、哺乳力低下、嘔吐、腹部膨満
    • 2期(中期):代謝性アシドーシス血小板減少、血便
    • 3期(末期):敗血症ショック

新生児壊死性腸炎の症状

  • 生後5-6日目頃の、哺乳を進めている時に発症することが多い
  • 腹部皮膚が青く、どす黒くなる
  • 胃の中に停滞する母乳・ミルクの量が増える
  • 腹部が張る
  • 血便
  • 嘔吐
    • 胆汁を含む黄色や緑色の嘔吐物の場合は、特に注意
  • 元気がない
  • 無呼吸発作の出現
  • 体温低下
  • 脈拍がゆっくりになる
  • 活気低下

新生児壊死性腸炎の検査・診断

  • 血液検査:炎症の度合いやアシドーシスの程度、血糖の変化などを調べる
  • 腹部レントゲン:特徴的なガスの写り方が見られることがある
  • 腹部CT:腸に炎症が起こっていないかなどを調べる
  • 細菌検査:胃内容、糞便、喀痰、血液内に存在している細菌の種類を調べる

新生児壊死性腸炎の治療法

  • 特に在胎28週未満、体重1000g未満の児は、慎重な経過観察を要する
  • 診断が確定できなくても、疑わしい場合は、早期に治療を開始すべき
  • 治療は病気の進行によって異なる
  • 1期(初期)における治療
    • ミルクや食事を止めて腸を安静にして、抗菌薬を使用する
  • 2期(中期)における治療
    • 酸素が足りなくならないように、呼吸をサポートする
    • 血圧が低くならないように、点滴や薬などで循環をサポートする
  • 3期(末期)における治療
    • 内科的な治療でも改善がなかったり、腸が壊死したり穿孔した場合は外科的な手術が必要
    • 壊死した腸を切り取り、元気な部分の腸同士をつなぐ
    • お腹の外に腸を出す手術:腸ろう手術
  • 死亡率は30~40%
  • 後遺症が残ることがある

新生児壊死性腸炎のタグ

新生児壊死性腸炎に関わるからだの部位