2015.05.18 | ニュース

施設によって抗生物質の使用率は40倍違う

カリフォルニア州の127か所のNICUを比較
from Pediatrics
施設によって抗生物質の使用率は40倍違うの写真
(C) Damian - Fotolia.com

新生児が危険な状態に陥ったときに治療を引き受けるNICU(新生児集中治療室)では、感染症対策として抗生物質を使うこともよくあります。免疫システムがまだ完成していない子どもにとって、抗生物質は重要な治療ですが、使いすぎではないかと思われる場合もあるようです。アメリカの研究で、抗生物質の使用率はNICUごとに比べると40倍の開きがあったことが報告されました。

◆127か所のNICUの情報を解析

研究班は、「2013年の間にカリフォルニア州の127か所のNICUで治療されていた52,061人の新生児を対象とする後ろ向きコホート研究」として、NICUのケアの程度によって、また抗生物質の使用率が上位1/4のNICUと下位1/4のNICUでは、治療の結果などに違いがあるかどうかを統計解析により調べました。

治療の結果として子どもの感染症の頻度、壊死性腸炎の頻度、死亡率、出生時からの入院の頻度を調べました。

またNICUのケアの程度や抗生物質の使用率が、NICUの手術経験の多さ、NICUで治療した平均期間と関連があるかどうかも調べました。

 

◆一人一日あたりの量が40倍

解析の結果、以下のことがわかりました。

全体で抗生物質の使用率には患者人日あたり2.4%から97.1%まで40倍の差異があり、中央値は24.5%だった。すべてのケア水準において、抗生物質使用率は感染症、壊死性腸炎、NICUの手術経験、死亡率と相関していなかった。

中等度のケア水準にあたるNICUのうち50%が、抗生物質の使用率上位1/4にあたり、そのほぼすべてで感染症はゼロと報告されていた。

抗生物質の使用率が上位1/4のグループのうち、地方にあるNICUは、抗生物質の使用率が下位1/4にあたる地方のNICUに比べて、出生時からの入院率が218%高く(0.24 vs 0.11、P=0.03)、NICUで治療した期間が35%長かった(90.2日 vs 66.9日、P=0.03)。

研究班は、感染症の頻度などに明らかな違いがないにも関わらず抗生物質の使用率に40倍ものばらつきがあることについて、「いくらかのNICUでは抗生物質を使いすぎている」かもしれないと述べています。

 

抗生物質の使用率が感染症の頻度の原因なのか結果なのか、どちらも考えられるので、この研究でわかることには限界がありそうですが、それでもほとんど使わない施設とほとんど使う施設があり、使用率に40倍という開きがあったことには驚かされます。

施設ごとにどんな事情があるのか、詳しく知りたくなる報告です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Neonatal intensive care unit antibiotic use.

Pediatrics. 2015 May

[PMID: 25896845]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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