ひぎゃくたいじしょうこうぐん
被虐待児症候群
親や保護者に傷つけられた子供に生じる、心身の健康障害
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最終更新: 2019.02.19
被虐待児症候群の基礎知識
POINT 被虐待児症候群とは
保護者に傷つけられた子どもに生じる、心身の健康障害のことです。症状の現れ方によって、4つのタイプ(下記参照)に分類されることが多いです。暴力による怪我だけではなく、精神面への悪影響も含まれます。虐待の有無を見分けることが重要で、レントゲン検査や眼底検査が行われることがあります。周りに虐待を受けている子どもがいる場合は、児童相談所などに相談してください。
被虐待児症候群について
- 親や保護者に傷つけられた子供に生じる、心身の健康障害
- 暴力による外傷や、発達の遅れ、学習能力の低下など、心と体のどちらの症状もあらわれる
- 主に以下の4型に分類される
- 身体的虐待
- 殴る、蹴る、首を締める、水につける、タバコを押し付けるなどの暴力
- ネグレクト
- 食事を与えない、病気でも医者に見せない、教育を受けさせないなど
- 心理的虐待
- 心を傷つけたり、差別する扱いをするなど
- 性的虐待
- 子供に対して性的暴力をふるう
- 身体的虐待
- 被虐待児症候群の患児は、心身の発達に障害が出たり、成長にするにつれて問題行動を起こすことが多い
- 子供も親も治療の対象となる
- 児童虐待防止法で虐待に気がついた者は通告義務がある
被虐待児症候群の症状
- 外傷
- 親や保護者からの暴力による
- 成長障害や発達障害
- 食事を与えないなどの虐待による栄養障害
- 恐怖や不安などのストレスによる成長
ホルモン の分泌障害
- 学習能力や情緒不安定、問題行動
- 精神的なストレスによる
- 学習能力の低下は、子供が落ち着いて学習する環境にないことも原因となる
- 死亡に至ることも稀ではない
- 乳児の場合特に多い
- 死因としては頭部の外傷が多い
- 死に至らなくても脳性麻痺や
知的障害 、視力障害などを残すことがある
被虐待児症候群の検査・診断
- 虐待がないかを見分けることが重要
- けいれんや呼吸障害、目の焦点が合わないなどの症状で見つかる場合もある
- 外傷の観察や外傷が起こった時の状況の確認
- 虐待の可能性を否定できない時は、以下の検査を行う
- 乳児では骨折に気付かれない事も多いため、全身の骨の
X線 写真撮影を行う - 眼科診察で、
眼底 出血がないか確認する
- 乳児では骨折に気付かれない事も多いため、全身の骨の
- 外傷だけでなく、成長の遅れや発達の遅れについても慎重に観察する
被虐待児症候群の治療法
- 子供の治療の際は、入院したり、施設に入所したりして親と離し適切な環境を整える
- 専門家が長期間にわたり、親子両方をサポートして行くことが必要
- 虐待が再発しやすい状況に注意する
- 障害や病気、望まない妊娠だったなどで育てにくい子供
- 金銭問題や夫婦間の問題などストレスのかかる生活環境
- 孤立した育児をしている
- 親も幼少期に虐待を受けていたなど虐待しやすい要因をもつ親
- 子供の問題行動や情緒不安定に関しては、専門家が長期間にわたって信頼関係を築きながらサポートする必要がある