2015.12.24 | ニュース
こどもの虐待でケガ 7割が乳児
14,845人の受傷理由を調査
from Emergency medicine journal : EMJ
(C) exclusive-design - Fotolia.com
ケガで受診するこどもの中には、児童虐待の被害者が存在する可能性があります。英国の研究チームがケガの原因ごとの特性を調査しました。
◆14,845人の受傷理由を調査
研究チームはイングランドとウェールズのケガの患者14,845人のデータベースを、事故によるケガ、虐待の疑い、傷害といった、ケガの原因ごとに分類し、調査しました。
◆虐待の疑いがある76%が1歳未満
調査の結果、ケガの原因の92.3%が事故によるケガ、2.5%が傷害、5.2%が虐待の疑いがあるものでした。虐待だと疑われる重傷を負ったこどもの97.7%が5歳以下で、76.3%は1歳未満でした。
虐待が疑われるこどもは重症度が高く、多くの割合で頭部にケガをしていました。
アクシデントによるケガで死亡したこどもの数と比較して、虐待で死亡したこどもの割合はその3倍でした。
児童虐待によるケガの頻度は乳児期にピークがある、ということは他の国からも報告されています。
また、虐待によるケガが事故の場合より重症であるというのも世界の傾向です。単純には比較できませんが、アメリカからの致死率の報告(6倍)は、ここでのイギリスの数字(3倍)をはるかに上回っています。
心の痛む結果ですが、このようなデータが医療現場にて虐待の痕跡を判別することや、関係機関への橋渡しに役立つことが望まれます。
執筆者
参考文献
A profile of suspected child abuse as a subgroup of major trauma patients
Emerg Med J. 2015 Dec
[PMID: 26598630] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26598630※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。