げんぱつせいこうかせいたんかんえん
原発性硬化性胆管炎
結石などの詰まるものがないにもかかわらず、胆管が徐々に細くなって閉塞してしまうことで胆汁うっ滞の症状を起こしてしまう難病
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最終更新: 2018.08.16
原発性硬化性胆管炎の基礎知識
POINT 原発性硬化性胆管炎とは
原発性硬化性胆管炎は肝臓で作られた胆汁の流れる道(胆管)が徐々に細くなって閉塞してしまう病気です。閉塞が起こると胆汁がうっ滞して肝臓に負担がかかってしまうため、肝機能障害や黄疸が起こります。主な症状は発熱・右上腹部痛・皮膚のかゆみ・黄疸(皮膚や目が黄色くなる変化)・身体のだるさなどが起こります。 症状や身体診察に加えて、血液検査・超音波検査・画像検査(特にERCPやMRCPなど)を用いて診断します。また、胆管がんがないかを調べるために胆管の細胞を採取する検査を行うこともあります。症状がない軽症の場合は特に治療は行わないで様子を見ます。肝機能障害や黄疸が起こった場合は薬を用いたり内視鏡を用いたりして治療します。また、非常に重症の場合は肝移植を行うこともあります。原発性硬化性胆管炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。
原発性硬化性胆管炎について
原発性硬化性胆管炎の症状
- 無症状の場合もある
- 初期に起こる症状
- 右上腹部痛
- 発熱
- だるさ
- かゆみ
黄疸
発症 時に右上腹部痛と発熱を繰り返す- だるさ、かゆみは徐々に進行し、遅れて黄疸が現れる
- 肝障害が進行したときの症状
- 肝
腫大 腹水 - 神経症状
- 食道静脈瘤からの出血
- 肝
- まれに起こる症状
- 脂肪便
- 脂溶性
ビタミン の欠乏
原発性硬化性胆管炎の検査・診断
- 血液検査:肝機能に異常の有無を調べる
- 異常があれば原発性硬化性胆管炎を疑って検査する
自己抗体 の異常を伴うことがあるので、自己抗体も調べる
- 画像で
胆管 が狭まったり、その上流で広がったりした箇所を確かめる - 胆管がんがないかを調べるため、ERCP下で胆管の細胞を採取して顕微鏡で検査する(擦過
細胞診 )
原発性硬化性胆管炎の治療法
- 無症状ならば
経過観察 - 年2回の身体診察と肝機能検査など
- 肝機能の改善の治療(特にアルカリフォスファターゼやγ-GTP値が改善する)
- ウルソデオキシコール酸(UDCA)
- ベザフィブラート
自己抗体 陽性の場合は、副腎皮質ステロイド の投薬も行う
細菌 性胆管 炎が現れた場合- 必要に応じて
抗菌薬 などの治療が行われる
- 必要に応じて
内視鏡 を使う治療で狭くなった胆管を広げる- 同時に細胞を擦り取って顕微鏡で検査することで、
腫瘍 を探すことができる
- 同時に細胞を擦り取って顕微鏡で検査することで、
- 重症の場合は肝移植が行われる
- ただし、肝移植後の再発も多く
- 診断から肝不全に至るまでの期間は平均で約12年