もうまくどうみゃくへいそくしょう
網膜動脈閉塞症
目の内側の後ろ側にある網膜を栄養する動脈が急激に詰まり、視力の低下や視野の異常が起こる危険な状態
3人の医師がチェック 79回の改訂 最終更新: 2017.12.06

網膜動脈閉塞症の基礎知識

POINT 網膜動脈閉塞症とは

網膜は神経細胞でできていて、血管から酸素や栄養を受けています。その血管が詰まってしまうのが網膜動脈閉塞症です。症状は急に真っ暗になる、または、視界に部分的に真っ暗な部分ができることです。血管が詰まってから100分以上たつと、網膜の神経が死んできてしまい、元には戻りません。失明してしまうこともあります。治療は、発症して数時間であれば、点滴や眼の圧を下げるような治療をすることで閉塞が取れ、視力が回復することがあります。急に見えなくなったりしたら、すぐに眼科を受診しましょう。また、網膜動脈閉塞症になりやすい人は高齢者では高血圧、動脈硬化、糖尿病、不整脈、若い人では膠原病や血管炎があります。そのような診断を受けた人は、予防のためにもしっかりとした治療を行うことが大切です。

網膜動脈閉塞症について

  • 眼の内側の後ろ側にある網膜に流れる動脈が急に詰まり、視力の低下や視野の異常が起こる危険な状態
    • 通常は片方の目に症状が起こる
  • 網膜に血液を送る動脈が詰まることで、映像を映し出す働きを持つ網膜の細胞が死んでしまう
  • 網膜動脈閉塞症は中心性と分枝性に分けられる
    • 中心性:網膜に流れる動脈の根元で起こった場合
    • 分枝性:動脈が枝分かれした先の部分で起こった場合
  • 以下の疾患などが原因で起こることが多い
    • 高血圧
    • 糖尿病
    • 喫煙
    • 動脈硬化
    • 医療行為(手術やカテーテル検査合併症として起こる)
  • 50歳代の男性に多い

網膜動脈閉塞症の症状

  • 急激な視力の低下
    • 「急に片目が見えなくなった」という人が多い
  • 視界が暗くなる
  • 網膜の中心である「黄斑」という場所に影響が出なければ、視力低下が起きないこともある
  • 分枝性の場合は視野の欠損は起こるが、失明まで至ることは少ない

網膜動脈閉塞症の検査・診断

  • 眼底検査:瞳孔を開く薬を使って、瞳孔から網膜の状態を調べる
  • 蛍光眼底造影検査:腕から造影剤を注射して眼の中の血管の状態を調べる

網膜動脈閉塞症の治療法

  • 薬物療法
    • 血管拡張薬(ニトログリセリンなど)
    • 血栓溶解薬
    • 眼圧降下薬
  • 手術
    • 前房穿刺法:目に針を刺し、目の中の水を抜く
  • 高気圧酸素療法:傷ついた組織に酸素を与える
  • 眼球マッサージ:まぶたの上から眼球を押してマッサージをする
  • 症状が出てから1-2時間以内に治療をすることができれば、視力を改善することができる
  • 症状が出てから1-2時間以上たってからの治療では視力が戻らないことがほとんどである

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