中心性網膜動脈閉塞症の治療、線溶療法とその他の治療に効果はあるのか?

糖尿病や高血圧が原因で、網膜に走る血管が詰まってしまう中心性網膜動脈閉塞症は、視力低下や失明につながる、危険な状態です。治療法についてこれまでの研究をまとめた結果、線溶療法が有効である一方、ほかの治療が有害である可能性が示されました。
◆過去の研究を検証
研究班は、これまでの研究を検索して、中心性網膜動脈閉塞症の治療の結果として視力の変化を調べたものを集め、内容を検証しました。
◆線溶療法で視力回復、保存的治療は回復率低下
次の結果が得られました。
線溶療法は
症状 が現れてから4.5時間以前において、自然史群に比べて有益と見られた(視力回復は34人中17人[50.0%] vs 396人中70人[17.7%]、オッズ比4.7、95%信頼区間2.3-9.6、P<0.001)。
保存的治療 は自然史群に比べて、視力帰結、中心性網膜動脈閉塞症からの回復率を有意 に悪化させたことが見いだされた(419人中31人[7.4%、95%信頼区間3.7%-11.1%] vs 396人中70人[17.7%、95%信頼区間13.9%-21.4%]、P<0.001、number needed to harmは10.0、95%信頼区間6.8-17.4)。
治療を受けなかった人に比べて、線溶療法を受けた人では、一定水準の視力回復が得られた割合が大きくなっていました。眼マッサージ、前房
この研究は、どの治療を行うかの判断に研究者が関わらないタイプの研究を集めたものであり、治療が選ばれた理由の中に、結果を左右する要素が含まれていなかったかは慎重に考える必要があります。
たとえば、仮に何も治療を受けなかった人は軽症の人が多かったとすると、ほかの治療を受けた人より結果がよくなる傾向があるかもしれません。
このように、線溶療法が有益でほかの治療が有害とは必ずしも断言できない面が残りますが、より確かな情報を得るため、新しい研究を行う手掛かりになるかもしれません。
執筆者
Intravenous Fibrinolytic Therapy in Central Retinal Artery Occlusion: A Patient-Level Meta-analysis.
JAMA Neurol. 2015 Aug 10 [Epub ahead of print]
[PMID: 26258861]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。