ずがいていこっせつ
頭蓋底骨折
頭蓋骨の奥の底の骨が骨折した状態
8人の医師がチェック 97回の改訂 最終更新: 2021.06.23

頭蓋底骨折の基礎知識

POINT 頭蓋底骨折とは

頭蓋底は頭蓋骨の奥の部分の骨のことを指します。頭に強い力が加わると頭蓋底骨折が起こります。頭痛や鼻から無色から黄色の液体が流れるなどの症状が現れますが、頭蓋底骨折には下記に記すように3種類のパターンがあり、それぞれで特徴的な症状が現れます。頭蓋底骨折が疑われる場合には、CT検査やMRI検査によって調べられます。状態によっては経過観察することもできますが、症状の改善がない場合には、手術が検討されます。頭を強く打った後に頭痛があったり鼻から液体が流れ出た場合には頭蓋底骨折の可能性があります。救急外来や脳神経外科を受診してください。

頭蓋底骨折について

  • 頭蓋骨の奥の底の骨が骨折した状態
    • 頭に強い外力が加わることで骨折し、頭の中にある「脳脊髄液」と呼ばれる液体が血と一緒に漏れてしまうことがある
  • 障害部位によって以下の3つに分類される
  • 前頭蓋底骨折
    • 最も頻度が高く、けんかや交通事故によるものが多い
    • 視力や鼻に関連した症状が出る
  • 中頭蓋底骨折
    • 目の動きや耳、平衡感覚に関連した症状が出やすい
  • 後頭蓋底骨折
    • 自律神経や飲み込みの問題など、口に関連した症状が出ることがある

頭蓋底骨折の症状

  • 主な症状
    • 頭痛
    • さらさらとした無色から黄色の液体が鼻から流れてくる(髄液鼻漏
      • 骨折によって脳脊髄液が漏れていると起こる
  • 障害部位ごとの特徴的な症状を以下に解説
  • 前頭蓋底骨折
    • 視力低下
    • 視野がかすむ  など
  • 中頭蓋底骨折
    • 目線が合わず、ものが二重に見える
    • 聴力低下
    • 耳鳴り
    • 顔面神経麻痺  など
  • 後頭蓋底骨折
    • 動悸
    • めまい  など

頭蓋底骨折の検査・診断

  • CT検査:骨折の部位や程度を調べる
  • MRI検査:骨折だけでなく脳の障害もないか調べる

頭蓋底骨折の治療法

  • 保存療法:そのまま様子をみる
    • 安静を保ち、脳脊髄液の漏れがあればそれが治まるのを待つ
    • 脳脊髄液の漏れは1-3週間安静にしていると止まることが多い
    • 脳脊髄液に細菌が侵入して感染を起こすこと(細菌性髄膜炎)があるので注意が必要
  • 手術
    • 保存療法で改善が見られない場合に手術が行われる
    • 開頭硬膜形成術:脳脊髄液を包む「硬膜」と呼ばれる膜を縫い合わせる

頭蓋底骨折の経過と病院探しのポイント

頭蓋底骨折が心配な方

頭蓋底骨折は交通事故や転落事故など、強く頭と顔面を打ち付けた際に生じます。

頭蓋底骨折の疑いがある場合は、脳神経外科(脳外科)のある病院が適しています。ただし、頭蓋底骨折を起こした時には、顔面のケガや脳挫傷など脳の異常を伴っている場合が多いと思います。重症であれば救急車で搬送されることになると思いますし、その場合はご自身で病院を選択する余地はあまりないでしょう。

顔面のケガや脳挫傷といった、併発している病状が他にもある場合には、ICU (intensive care unit), HCU (high care unit) などと呼ばれるような集中治療室がある病院だと入院中の経過をよりしっかりと追うことができます。

頭蓋底骨折の診断はCTで行います。国内の総合病院であればほとんどのところにCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

頭蓋底骨折に関連する診療科の病院・クリニックを探す

頭蓋底骨折でお困りの方

頭蓋底骨折のみであれば、基本的には安静にして骨折が治癒するのを待つことになります。しかし骨折部から髄液(脳の周りを満たしている液体)の漏れがいつまでも治まらない場合には手術を行います。

必ずしも脳外科のある病院でなければ治療できない疾患ではありませんが、手術が必要になった場合には脳外科医のいる病院に転院する流れとなるでしょう。病院同士は横のつながりがあり、手術ができる病院はご自身で探さなくとも紹介を受けることが可能です。

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