もうのうえん(もうほうえん)
毛のう炎(毛包炎)
毛穴に細菌が感染した状態。カミソリ負けやアトピー性皮膚炎など、皮膚のバリア機能がダメージを受けたときに起こりやすい
5人の医師がチェック 92回の改訂 最終更新: 2022.04.15

毛のう炎(毛包炎)の基礎知識

POINT 毛のう炎(毛包炎)とは

毛穴に細菌が感染した状態のことです。カミソリ負けやアトピー性皮膚炎などによって皮膚のバリア機能が破綻した際に起こりやすいことが知られています。皮膚に赤い発疹ができますが、痛みはないこともあります。視診や問診で診断が行われ、主に抗菌薬で治療が行われます。皮膚を清潔に保つことや、かみそりを使う時に皮膚に傷がつかないような工夫が予防になります。毛のう炎が心配な人は皮膚科を受診してください。

毛のう炎(毛包炎)について

  • 毛穴の奥(毛のう)に細菌が侵入して感染した状態
    • 黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が感染の原因として多い
  • カミソリ負けやアトピー性皮膚炎の患者は発症しやすい
    • 皮膚のバリア機能がダメージを受けているため

毛のう炎(毛包炎)の症状

  • 皮膚に赤い発疹ができる
    • 痛みなどの症状は出にくい
  • 悪化すると発疹の中に芯のようなしこりができる
  • 太ももやお尻、首の後ろなどにできやすい

毛のう炎(毛包炎)の検査・診断

  • 皮膚の状態を見て診断する
  • 起炎菌を調べるために細菌培養検査することがある

毛のう炎(毛包炎)の治療法

  • 病気の範囲が狭い場合などは、特に治療を行わなくても自然に治るのを待つだけで十分である
    • 必要であれば抗菌薬外用薬内服薬)で治療を行う
  • 予防方法
    • 皮膚を保湿し、清潔に保つ
    • カミソリ負けを防ぐ
    • 通気性のよい下着を身につける
    • 刺激を与える素材(チクチクなど)の衣類を避ける
    • ステロイド薬を必要以上に塗らない

毛のう炎(毛包炎)の経過と病院探しのポイント

毛のう炎(毛包炎)が心配な方

毛のう炎は皮膚に生じる感染症の一つで、毛の根元に菌が入り込んで炎症を引き起こした状態です。原因となる菌は珍しいものではなく、普段から皮膚に存在している菌であるケースが大半です。普段は悪さをせずにただ住み着いているだけの菌が、皮膚の傷や肌荒れをきっかけに炎症を引き起こすのが毛のう炎です。

毛のう炎の診断は特別な検査を行うことなく、経過と診察結果のみで診断します。皮膚にぶつぶつができて赤くなっている場合など、ご自身が毛のう炎でないかと心配になった時には、まずお近くの皮膚科クリニックを受診することをお勧めします。毛のう炎はクリニックでも大病院でも、検査の精度や治療方針には差が出ない病気の一つです。症状が辛い中、大病院で長時間待つよりは、クリニックで素早く診断をつけてもらい、自宅で安静にするのも一つの選択肢です。

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毛のう炎(毛包炎)でお困りの方

毛のう炎の治療は抗生物質(抗菌薬)の軟膏が中心となります。薬を使用せずとも清潔にしているだけで自然と治ることも多いですし、逆に症状が強い場合には塗り薬だけでなく内服薬も使用します。

抗菌薬は、一般的な菌に効果が高い種類のものがはじめは使われます。しかし薬剤に耐性を持った菌がいるため、最初のものが効かなかった場合、抗菌薬を変更する必要があります。処方された薬を使用しても改善が見られない場合には、別の病院を受診するのではなく、出来る限り最初と同じ医療機関を再診するようにしてください。「この薬の効果がなければ次はこう考える」という二の手、三の手がある中で効く可能性の高いものから順に治療が行われるためと、最初の時点からの皮膚の様子の変化が経過を追う上で重要なためです。

現在の日本の医療体制では、「通院は近所のかかりつけ医、入院は地域の総合病院」といった分業と、医療機関同士の連携が重視されています。重症の患者さんが安心していつでも総合病院にかかれるように、総合病院でなくとも診療が行える病状の方は、できるだけ地域のクリニックを受診してもらうことで、住み分けを行うという形です。これには、地元に自分のかかりつけ医(主治医)を作ることで、その人の病状全体が把握できるというメリットもあり、必要あればその都度、病気ごとに専門の医師や医療機関と連携して診療を行います。

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