眼窩底骨折の基礎知識
POINT 眼窩底骨折とは
眼窩は眼球を取り囲んでいる頭蓋骨の一部です。眼窩底骨折はスポーツや事故などでの強い衝撃を原因とし、視野の欠損や複視(ものが二重に見えること)が起こります。画像検査(頭部CT検査やMRI検査)で診断がつけられます。目の動きに問題がなければ様子見となることが多いですが、視野に異常がある人では手術が検討されます。強い衝撃を受けた後に、視野の欠損や複視がある人は眼窩底骨折が原因かも知れないので、眼科を受診してください。
眼窩底骨折について
- 眼窩(頭蓋骨の眼球を取り囲んでいる部分)の下の部分の骨折
- 強い衝撃が加わることで起こる
- 眼球を動かしづらくなったり、神経にダメージが起こると頬や唇の感覚に障害が起こる
合併症 として、網膜剥離が起こることが多い
- 主な原因
- スポーツ
- けんか
- 事故、転倒
眼窩底骨折の症状
- 眼球の陥没・変形
- 目の周りの痛み、腫れ、内出血
- 物が二重に見える(
複視 ) - 上の方を見にくくなる
- 視野の一部が欠ける
- 頬や上唇がしびれる
眼窩底骨折の検査・診断
- 画像検査:骨折の有無や程度などを調べる
頭部CT検査 、MRI 検査:レントゲン では眼窩底骨折は分からないことも多い
- 見え方に問題がないか、視野検査などを行うことも多い
眼窩底骨折の治療法
- 眼の動きや、頬の感覚に異常がなければ
保存的治療 を行う保存療法 の場合は、治癒 に1-6か月程度かかる
- 以下のような
症状 があれば手術を検討する- 物が二重に見える
- 目を動かす筋肉が圧迫されて、痛みなどで血圧が低下する、脈がゆっくりになる
- 顔の外見(見た目)が変形して、そのままでは不適切と考えられた場合
- 手術では、眼球や筋肉などをきちんと眼窩内にもどして、他の部分の骨を移植したり人工物(チタン製プレート・吸収性プレートなど)を敷いて骨折した部分の治療を行う
- 小児の場合は骨が柔らかいので、骨の移植や人工物が必要ないこともある
- 皮膚を切る場所は、眼の下の皮膚か
結膜 部分、鼻や口の粘膜など、骨折の部位や手術方法によって様々である
眼窩底骨折の経過と病院探しのポイント
眼窩底骨折が心配な方
眼窩底骨折では、顔面への強い衝撃、外傷が原因で眼球の周りの骨が折れて、眼球の陥没や変形、物が二重に見える(複視)、視野の一部が欠ける、頬や上唇が痺れるなどの症状が出現します。
多くの場合、顔や頭を受傷された時点で救急科や脳外科、整形外科を受診されていると思います。まずはそれらの診療科の医師に眼窩底骨折について検査してもらい、疑われる、もしくは診断された場合には耳鼻咽喉科、形成外科、頭頸部外科を紹介してもらう流れになるでしょう。
もしそういった紹介を受けなかったけれども眼窩底骨折かなと疑っている場合、受診の候補としては耳鼻咽喉科、形成外科、頭頸部外科の病院やクリニックが適しています。保存的加療(様子観察)されることが多いので、しっかりと評価してフォローできる医師でしたら、手術のできないクリニック、病院でも大丈夫です。手術の可能性が高い場合や希望される場合は、手術を行っている病院を探したり、紹介してもらいましょう。
眼窩底骨折の診断はCT、MRIで行います。これらの検査で骨折しているかどうか、目を動かす筋肉を圧迫していないかを判断します。眼窩底骨折によってどのような症状が出現しているかを評価するためには、眼球運動の診察、視野検査などが行われます。
眼窩底骨折でお困りの方
眼窩底骨折の治療としては、保存的治療(様子観察)と手術があります。ほとんどの場合、まずは保存的治療が行われます。複視や頬・下唇の痺れが改善するためには、1-6ヶ月ほどかかります。複視の症状が強い場合、目を動かす筋肉が圧迫されている場合、眼球が陥没してしまっている場合には手術が検討されます。複視や痺れの症状を早く改善させるために手術を行う場合もありますし、あるいは眼球が陥没していた場合には手術をしなければ改善しません。
どういった場合に手術をするか、どの方法で手術をするかは、診療科や医師による差が大きいです。耳鼻咽喉科、形成外科、頭頸部外科の病院で手術を行っている病院を探したり、紹介してもらいましょう。