りゅうこうせいかくけつまくえん
流行性角結膜炎(はやり目)
「アデノウイルス」と呼ばれるウイルスに感染したことで、まぶたの内側にある結膜が炎症を起こす病気
5人の医師がチェック 86回の改訂 最終更新: 2018.07.11

流行性角結膜炎(はやり目)の基礎知識

POINT 流行性角結膜炎(はやり目)とは

アデノウイルスという風邪のウイルスが眼に感染することで起こります。感染力が非常に強く、病原体のついた手で眼をこするだけで簡単にうつってしまいます。7-10日間の潜伏期間を経て、眼の赤み、かゆみや痛み、まぶしさ、目ヤニや涙などの症状が出ます。ひどいと黒目が濁って視力が落ちたり、眼から出血したり、まぶたが目にくっついてしまったりします。アデノウイルスそのものに効果的な薬はありませんので、他の細菌の感染を防ぐための抗菌薬と、過剰な炎症で自分の眼を傷つけないためにステロイドの点眼を使用します。治るまでに少なくとも2週間を要し、長い時には1か月以上かかることもあります。適切な治療が行われないと、後遺症として黒目の濁りが残って、視力が下がってしまうことがあります。早めの受診と適切な治療に加え、周りの人にうつさないようにすることが大切です。家族間で同じタオルを共有するのもやめましょう。流行性角結膜炎が心配な人や治療したい人は、眼科や感染症内科を受診して下さい。

流行性角結膜炎(はやり目)について

  • アデノウイルス」と呼ばれるウイルスに感染したことで、まぶたの内側にある結膜炎症を起こす病気
  • 主な原因
    • アデノウイルスへの感染(かぜの原因ウイルスの一種)
      • アデノウイルスは非常に感染しやすい
      • 感染してから8-14日で発症する
  • 1-5歳の小児や成人が多い
    • 目の病気の中で比較的多い

流行性角結膜炎(はやり目)の症状

  • 結膜炎症による症状
    • 目やに
    • 充血
    • まぶたの腫れ
    • 痛み
    • 耳前リンパ節の腫れ
  • 乳幼児では下痢などの全身症状を起こすこともある

流行性角結膜炎(はやり目)の検査・診断

  • 結膜をぬぐった液を検体として迅速診断キットを用いて検査
    • このぬぐい液でウイルスDNAの検査もできる
  • 細菌による感染などではないことを顕微鏡検査などで除外することもある

流行性角結膜炎(はやり目)の治療法

  • 基本的な治療方針
    • アデノウイルスに対する薬はない
    • 十分な睡眠や食事などで全身状態を改善し、感染にかかりにくくする
  • 症状を和らげたり、二次感染を防ぐための治療法
    • 薬物療法
      • 抗菌薬:感染予防のため点眼剤を使う
      • ステロイド薬炎症が強い時に使う
  • 感染力が強く周りの人にうつらないようにすることが重要
    • 周囲への感染の恐れがないと医師が判断するまで出席停止と学校保健安全法で定められている
    • 出勤停止となることも多い
  • 2-3週でよくなるが、角膜混濁が後遺症として残り視力が低下する事もある

流行性角結膜炎(はやり目)の経過と病院探しのポイント

流行性角結膜炎(はやり目)が心配な方

流行性角結膜炎はやり目)は、アデノウイルスによる目の感染症です。目が腫れて充血して、涙や目やにが大量に出ます。長引くと角膜への炎症が強くなり、視力低下の原因となることもあるため、眼科を受診の上で治療を受けるべき疾患です。ただし上記のような症状を呈する目の病気は他にも沢山ありますので、症状だけからご自身で流行性角結膜炎だと自己診断をするのは難しいかもしれません。上記のような症状があってご不安に感じたら、まず一度眼科のクリニックを受診されることをお勧めします。

なお、咽頭結膜熱といって同じくアデノウイルスによる別の感染症があります。目には似たような症状が出るのですが、発熱やのどの腫れが出現するといった点で違う病気です。原因となるアデノウイルスの中にもいくつかの型があり、流行性角結膜炎とは異なる型のものが咽頭結膜熱を引き起こします。

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流行性角結膜炎(はやり目)でお困りの方

流行性角結膜炎は症状が長引きやすい病気です。ウイルスに効果的な治療薬がありませんので、対症療法として炎症を抑えるような目薬を使用しながら、多くの場合は1-2週間程度で自然に治るのを待つことになります。これで治癒が得られれば良いのですが、炎症が強く長引くと視力低下の原因となったり、角膜に傷がついて治るまでに数か月かかったりすることがあります。角膜上皮と呼ばれる目の外側にある細胞は時間が経てば再生するので、その間、他の細菌に感染しないようにしたり、周囲の人へ感染を広げないようにしたりするため、定期的に眼科に通院して治癒の経過を追っていくことになります。

流行性角結膜炎で気をつけるのは、やはり周囲へ感染を広げないようにすることです。アデノウイルスは非常に感染力が強いため、涙や目やにが間接的に人の目に入らないようにしなければなりません。タオルを使い回すのを避け、学校や仕事は完全に治るまで休む必要があります。衣服の洗濯を分けて実施する必要はありませんが、お風呂で感染が広がる可能性は低いと考えられるものの、できれば患者の方が最後に入り、浴室をシャワーで十分に流してから出るのが良いでしょう。目をこすったらこまめに手洗いを行うこと(その際タオルは自分専用のものを使用すること)や、目を拭いたティッシュは放置せずにそのままビニール袋やゴミ袋に直接入れて他人が触れないところにしまうなどの配慮が大切です。

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