外傷性気胸の基礎知識
POINT 外傷性気胸とは
けがによって肺が破れてしまい気胸を生じた状態です。刃物のようなもので刺された場合や交通事故のような高エネルギー外傷で起こりやすいです。主な症状は咳や呼吸困難、胸痛などです。重症度の高い緊張性気胸という状態になることもあるので、血圧や脈拍などの全身状態に注意する必要があります。 外傷の程度と症状、画像検査から診断します。超音波(エコー)検査を行うこともあります。治療は脱気やドレナージを行う場合が多いですが、必要に応じて手術を行います。外傷性気胸が心配な人や治療したい人は、救急科や呼吸器外科、呼吸器内科を受診して下さい。
外傷性気胸について
- けがが原因で生じる気胸の総称
- 主な原因
外傷性気胸の症状
- 主な症状
- 胸痛
- 咳
- 呼吸困難
- 皮下気腫
- 血圧低下 など
- 程度は様々で、軽い息切れ程度のものから重度の呼吸困難や、場合によっては命の危険に至るケースまである
外傷性気胸の検査・診断
- 病歴と症状、身体
所見 から診断して緊急の処置を行うこともある - 画像検査
胸部レントゲン (X線 )検査胸部CT検査 - 超音波(
エコー )検査
外傷性気胸の治療法
- 程度が軽ければ特別な治療を行わずに様子を見て自然
治癒 を期待する - 処置が必要と判断されれば、以下の処置を行う
- 肺のつぶれが大きくなければ、胸に細い針の注射を刺して一時的に漏れた空気を吸い出す処置(
胸腔 アスピレーション、脱気)を行う - 肺のつぶれが大きければ、胸からチューブを入れたままにして漏れた空気を持続的に吸い出す処置(胸腔
ドレナージ )を行う
- 肺のつぶれが大きくなければ、胸に細い針の注射を刺して一時的に漏れた空気を吸い出す処置(
- 骨折があれば骨折の治療、傷があれば傷の治療を行う
- 長期的な経過
- 留置したチューブは、数日間から2週間程度で抜けることが多い
- 肺に開いた穴が大きい場合やドレナージを行っても改善しない場合、気胸が再発した場合は手術を行う
CT 検査で肺気腫(肺の壁が伸び切っている状態)やブラ(肺の壁が薄くなっている状態)が多く見られる場合も手術をすることがある
- 外傷性気胸の場合には血胸を
合併 することもしばしばあるので注意して観察、治療する
外傷性気胸の経過と病院探しのポイント
外傷性気胸が心配な方
外傷性気胸は、交通事故や転落などの外傷に伴って生じる疾患で、息切れや咳、胸から背中の痛みといった症状がみられます。外傷性気胸の場合、実際のところは呼吸困難があったり、他の部位のケガがあったりして、救急車で搬送される場合が大半です。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、適切な病院を判断し案内してくれます。
気胸の診断は胸部レントゲンや胸部CT、胸部超音波で行います。国内の総合病院であればほとんどのところにレントゲンとCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。
外傷性気胸は、転倒や交通事故などで生じるものです。その他の部位のケガがないかを見落とさないことが重要ですので、気胸以外のケガも含めて検査をすることになります。
外傷性気胸でお困りの方
気胸の治療としては、軽症であれば特別な治療を行わず、経過を見て自然に治るのを待つこともあります。
ある程度以上の気胸の場合には、胸腔穿刺や胸腔ドレナージといって、胸に針を刺して漏れた空気を抜き出す治療を行います。この場合、原則として入院が必要となります。
胸腔穿刺、胸腔ドレナージを行ってもその後の回復が良くない場合には手術を行います。呼吸器外科の中では一般的な手術ではありますが、外科医によって専門が異なるため、消化器外科、整形外科、脳外科などではなく、呼吸器外科の医師であるとより経験が豊富だと言えます。