けいこつきんいぶこっせつ
脛骨近位部骨折
すねの骨(脛骨)の膝に近い部分を骨折すること
4人の医師がチェック 70回の改訂 最終更新: 2022.03.16

脛骨近位部骨折の基礎知識

POINT 脛骨近位部骨折とは

脛骨はすねの骨です。膝に近い部分の脛骨の骨折を脛骨近位部骨折といいます。交通事故や転倒、スポーツによって起こり、高齢者に多く見られます。骨折すると痛みや腫れ、変形などが見られます。疑われる人は画像検査(レントゲン検査やCT検査、MRI検査)によって詳しく調べられます。骨折の程度によってギプスによる固定もしくは手術が選ばれます。脛骨近位部骨折が疑われる人は整形外科を受診してください。

脛骨近位部骨折について

  • すねの骨(脛骨)の膝に近い部分を骨折すること
    • 強い力がすねの骨に加わり、骨折する
  • 主な原因
    • 交通事故
    • 転倒
    • スポーツ(ラグビーやサッカーなど)
  • 高齢者に多い

脛骨近位部骨折の症状

  • 主な症状
    • 膝の痛み:すねの上を押したり、体重をかけたりすると痛みが増す
    • 膝の腫れ:すねの上が腫れる
    • 膝の変形
    • 膝の変色:すねの上に内出血が起こる

脛骨近位部骨折の検査・診断

  • 画像検査:骨折がないか、骨が転位(骨折した部位からずれていないか)などを調べる
    • レントゲン検査
    • CT検査
    • MRI検査
      • 必要に応じて膝の靭帯などの状態を調べるために行う

脛骨近位部骨折の治療法

  • 保存療法:骨折が軽傷であった場合、ギプス固定をする
  • 手術
    • 内固定法:割れた骨や骨のかけらを元の位置に戻し、プレート固定を行う
    • 小侵襲内固定術:割れた骨や骨のかけらを元の位置に戻し、プレートやスクリューを使って固定する
  • リハビリテーション:足の筋力の改善、膝の動きを改善する
    • 骨がくっつくまでに1-2か月かかる場合が多い
    • 骨が弱かったり、荷重してはいけない状態である場合は、代わりに体重を支えてくれる免荷装具を作成する場合がある
    • リハビリテーションをしっかり行うことで膝の動きは改善する
    • 重症な骨折では、変形が残る場合がある

脛骨近位部骨折の経過と病院探しのポイント

脛骨近位部骨折が心配な方

脛骨近位部骨折は、脛骨といって膝と足首の間にある二本の骨のうち、内側の骨(脛骨)に起きる骨折です。近位部とは「体の中心に近い側」ということですから、足首ではなく膝に近い側に起きた骨折を指します。

交通事故などで大きな衝撃が加わった際に生じやすい骨折です。このような事故の後から膝が痛くて腫れている場合には、脛骨近位部骨折の可能性があります。それ以外に似た症状を来たす状況としては膝の靭帯損傷(膝内障)や膝蓋骨骨折などもありますので、ご自身の症状の原因が脛骨近位部骨折であると自己診断するのは必ずしも容易ではありません。

実際に医療機関を受診された後は、脛骨近位部骨折の診断は診察とレントゲンで行います。場合によってはCTやエコーを補助的に使用します。

ご自身の症状が脛骨近位部骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。結果的に骨折ではなく筋肉の問題であればクリニックで対応が可能です。もし診断が脛骨近位部骨折で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。

受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

脛骨近位部骨折に関連する診療科の病院・クリニックを探す

脛骨近位部骨折でお困りの方

脛骨近位部骨折の場合、骨のずれが小さい軽症のものを除き手術が行われます。ただしご高齢の方や心臓、肺、その他の臓器に持病がある方などで手術を行うリスクが大きい場合には、自然に骨がつくのを待つこともあります。脛骨近位部骨折は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地はあまりありません。

手術後は、あまり安静にし過ぎているとかえって関節が固まって動かしづらくなってしまうため、痛みに耐えられる範囲で早期からリハビリテーションを開始していきます。

ご高齢の方で入院中に筋力が低下してしまったり、以前のように歩くことが難しくなってしまった場合には長期間のリハビリテーションが必要となります。一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行います。

急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフですが、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

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