しんけいしょうしゅ(しゅわんさいぼうしゅ)
神経鞘腫(シュワン細胞腫)
手足や頭などにできる良性腫瘍。手術や放射線で治療することが多い
8人の医師がチェック 84回の改訂 最終更新: 2017.11.30

Beta 神経鞘腫(シュワン細胞腫)のQ&A

    神経鞘腫の成り立ちについて教えて下さい。

    神経細胞は、軸索という細長い線維で他の細胞と電気的な情報のやりとりをしています。つまり軸索が電線のような役割を持っているわけですが、電線がむき出しだと上手く電気が伝わりません。電線のコードに対応するように、軸索の周りにはグリア細胞という細胞が巻き付いており、電線のビニールの覆いのような役目を担っています。

    神経鞘腫はこの覆いのグリア細胞からできる腫瘍です。

    神経鞘腫は、どんな症状で発症するのですか?

    一般的に神経鞘腫のできる神経の働きが落ちることにより発症します。つまり、聴神経(前庭神経)にできる神経鞘腫は、聞こえが悪くなったり、耳鳴りで発症します。

    三叉神経鞘腫は、顔面の感覚をつかさどる三叉神経の働きが落ちることで見つかることが多く、顔の半分だけ感覚が鈍くなるというのが典型的です。

    その他、顔面神経鞘腫は顔面神経麻痺、下位脳神経にできる神経鞘腫は声がかすれたり、むせやすい、という症状で発症します。

    神経鞘腫は、どのように診断するのですか?

    大きなものであれば頭部CTでも写りますが、基本的には造影剤を用いた頭部MRIで診断します。

    神経鞘腫の治療法について教えて下さい。

    腫瘍が周囲を圧迫して症状を出していることが多いため、その体積を減らす目的で手術を行うのが一般的です。

    聴神経腫瘍や三叉神経鞘腫の小さいもので、他の腫瘍の可能性が低いと考えられる場合にはガンマナイフ・サイバーナイフなどの放射線治療を行う場合があります。

    基本的には良性腫瘍ですが、再発する場合もあります。そのような場合には放射線治療を行う場合があります。

    神経鞘腫は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    脳から発生する脳腫瘍(癌からの転移などを除いたもの)は10万人あたり、1年間に1.2~10人発生すると言われます。神経鞘腫はその中の1割程度を占めます。

    神経鞘腫は様々な神経に発生しますが、最も多いものが聴神経腫瘍と呼ばれるもので、正確には聴神経の中の前庭神経にできます。

    聴神経腫瘍が神経鞘腫の70%程度を占め、その他には、三叉神経が比較的多く、顔面神経、下位脳神経などにできます。

    神経鞘腫の、その他の症状について教えて下さい。

    神経鞘腫が大きくなると、脳や脊髄を圧迫するようになります。例えば三叉神経鞘腫や聴神経腫瘍では、小脳や脳幹を圧迫することで、ふらつき、歩行障害、麻痺を起こして見つかることがあります。

    聴神経腫瘍に多いですが、腫瘍からたんぱく成分が分泌されることにより、髄液のたんぱく濃度が高くなり、水頭症を起こして見つかることもあります。その場合は水頭症による症状、つまり頭痛、見当識障害、歩行時のふらつき、失禁などを来します。

    神経鞘腫の、その他の検査について教えて下さい。

    CTを用いることで、周囲の骨がどれくらい破壊されているかを確認することがあります。またその結果によっては、腫瘍を取ったあとに大きな空間が残ってしまい、詰め物をする必要が生じることがあります。脊椎であれば、金属を用いた固定を追加する必要があるか確認します。

    神経鞘腫では、薬による治療法はありますか?

    神経鞘腫に対しての、薬剤による治療で有効なものはまだ知られていません。

    神経鞘腫と神経線維腫症2型の違いについて教えて下さい。

    神経鞘腫は聴神経や三叉神経、脊髄からでる神経根などにできます。

    神経線維腫症2型(NF2)では、両側の聴神経や、その他の末梢神経に神経鞘腫が多発する病気で、遺伝子変異が認められます。また、家族の方にNF2の方がいない人に起こる方が頻度としては多いのですが、NF2と診断された方の子孫には遺伝が見られます。

    神経鞘腫が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    脳幹・小脳の圧迫が強くなると、ふらつきや歩行障害が強くなり、自分での移動、生活の維持が困難になります。

    神経鞘腫と診断が紛らわしい病気はありますか?

    腫瘍ができている場所によって、髄膜腫などの脳腫瘍、癌の転移による脳腫瘍、脊髄腫瘍が鑑別に挙がる場合があります。

    神経鞘腫では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    通常全身麻酔の手術が必要なため、入院の治療が必要になります。入院期間は病院にもよりますが、10-14日程度のことが多いです。

    神経鞘腫は、遺伝する病気ですか?

    通常は遺伝しませんが、神経線維腫症2型という遺伝する疾患(常染色体優性遺伝)があります。神経線維腫症2型では神経鞘腫が見られやすいため、そのような間接的な意味では遺伝することがあります。

    神経鞘腫は、再発を予防できる病気ですか?

    再発を予防する方法は知られておらず、定期的にMRIなどの画像検査を行って、再発が見られた段階で再治療を検討します。

    神経鞘腫に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    三叉神経鞘腫で角膜の感覚が鈍くなっていると、まばたきが少なくなって、角膜が痛んで角膜潰瘍を起こしたり、ひどい場合には失明することもあるため、点眼(目薬)をこまめに行う必要があります。

    下位脳神経の神経鞘腫では、むせやすくなることが多く、これは治療を行っても治らないことが多いです。このような場合には、急いで食べるとむせたり、誤嚥して肺炎を起こしやすくなるので、ゆっくり食べるよう気を付ける必要があります。

    神経鞘腫は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    原則手術で全摘出が可能であれば、再発することは少ない病気です。

    また、神経鞘腫ができた神経の機能は、100%には回復しないので、残念ながら何らかの神経症状が残ってしまうことが多いです(聴神経腫瘍では聴力障害、下位脳神経鞘腫では嚥下障害など)。


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