いんすりのーま(いんすりんさんしょうすいとうさいぼうしゅ)
インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)
膵臓にできる、インスリンを大量に産生する腫瘍。体内のインスリンが異常に増えることで低血糖を起こしてしまうので手術など行う
8人の医師がチェック 117回の改訂 最終更新: 2020.12.17

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)の基礎知識

POINT インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)とは

インスリンは主に血糖値を下げるホルモンですが、このインスリンを過剰に分泌する腫瘍をインスリノーマといいます。インスリノーマは膵臓にできる腫瘍です。インスリンの過剰分泌によって血糖値が下がりすぎてしまい、冷や汗や手足の震え、意識消失などの低血糖症状が起こることがあります。低血糖症状に対する応急処置としてブドウ糖の補充が行われます。インスリノーマが疑われる人には血液検査や画像検査(超音波検査、CT検査など)を行って診断をすすめます。根本的な治療法は外科手術で腫瘍を切除することです。手術で取り除いたとしてものちに腫瘍が再発することがあるので、長期間に渡って経過観察が行われます。インスリノーマは内分泌内科や消化器内科、消化器外科が協力して診療を行います。

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)について

  • 膵臓にできる、インスリン血糖を下げるホルモン)を分泌する腫瘍
    • インスリンが異常に産生されて、低血糖発作を起こしてしまう
  • ほとんどが良性腫瘍
  • 一部は家族性に発生し、多発性内分泌腫瘍症(MEN)の1型として起こることも多い

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)の症状

  • 主な低血糖症
    • 脱力
    • 発汗
    • 意識消失
  • ブドウ糖の摂取により症状が改善する
  • その他の症状
    • 発汗
    • 心悸亢進
    • 脱力感
  • 治療しないでいると出てくる症状
    • 体重増加
    • 記憶障害
    • 知能低下

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)の検査・診断

  • 血液検査:インスリンが異常に産生されているかどうかなどを調べる
    • 血中のインスリンと血糖値を主に調べる
  • 絶食試験:絶食してもインスリンが異常に多い状態が続くかどうかを調べる
  • インスリノーマが疑われた場合、画像検査を行う
    • 画像検査:膵臓の腫瘍の大きさや位置などを調べる
      • 超音波検査
      • 超音波内視鏡検査
      • 腹部CT検査
      • MRI検査
      • PET検査
      • ソマトスタチン受容体シンチグラフィ

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)の治療法

  • 主な治療
    • 低血糖症状に対してブドウ糖を補充する
    • 外科手術で腫瘍を切除する
      • 開腹手術または腹腔鏡を用いた手術
      • 腫瘍の場所によっては、膵臓だけでなく十二指腸の一部も切除することがある
    • 外科手術で取りきれない場合や遠隔転移がある場合
      • 生物学的製剤、分子標的薬などを使った薬物治療が行われる
  • 手術後の経過
    • 手術で腫瘍を切除すると、低血糖症状などの症状は改善することが多い
    • 術後しばらくしてから再発する可能性があるので、通院と検査による経過観察が必要
    • とてもまれではあるがインスリノーマが悪性(がんの性質を持っている)の場合は、化学療法などの薬物治療が行われる

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)が含まれる病気

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)のタグ

インスリノーマ(インスリン産生膵島細胞腫)に関わるからだの部位