きゅうせいこうまくかけっしゅ
急性硬膜下血腫
怪我が原因で、硬膜下(硬膜と脳の間のスペース)で出血している病気。出血量が多くなり脳を圧迫すると、手足の動かしづらさや意識が悪いといった症状があらわれる
12人の医師がチェック 89回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 急性硬膜下血腫のQ&A

    急性硬膜下血腫はどういう病気ですか

    脳と、脳を包む膜である硬膜との間に出血が起こり、血が溜まった状態(血腫)を指します。血腫が脳を圧迫することで、脳の虚血や腫脹を引き起こす、発症後の経過が極めて悪い疾患です。「一刻を争う疾患」の一つです。

    急性硬膜下血腫の原因は何ですか

    ほとんどは頭部を打撲することで脳表の血管が切れ、出血することで起こります。若年者では交通事故、高齢者では落下・転倒事故が多いとされます。出血源は脳表の動脈、静脈いずれの場合もあります。

    急性硬膜外血腫と急性硬膜下血腫とは何が違うのですか

    名前は似ており「脳と骨の間」に血がたまるという点は共通していますが、「硬膜下」と「硬膜外」で血腫が溜まる場所が異なり、経過も大きく違います。頭部CTで区別がつきますが、紛らわしいこともあります。

    急性硬膜下血腫を発症しやすい人はいますか。また注意すべきことはありますか。

    頭部外傷の原因の殆どは不意に起こる事故ですから、未然に完全に防ぐというのは難しいと思われます。しかし、脳や心臓の疾患でもともと、血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を飲まれている方は、硬膜下血腫が重症化しやすい可能性はありますので、頭部を打撲しないようより強く注意する必要があるでしょう。スポーツによる頭部外傷も多く、正しい知識と指導が怪我の予防に必要不可欠です。

    急性硬膜下血腫ではどのような症状がでますか

    多く(全体の2/3程度)は、頭部外傷の受傷直後より意識障害があります。一方で、受傷後に意識があるからといって大丈夫とは限りません。意識がある場合でも、反応が鈍かったり、強い頭痛を訴えたり、嘔吐や瞳孔の異常を認めたりといった症状が出現し、緩徐に、もしくは急に悪化することがあります。 (出血が少量にとどまった場合には、頭痛のみなど軽症状のこともあります。半球間裂という特殊な部位の硬膜下血腫では、下肢の麻痺のみなどの軽い症状の場合もあります。)

    急性硬膜下血腫は重症化するとどうなりますか

    重症の場合には、意識障害が出現し、受傷当日や、数日のうちに命を落とす可能性があります。受傷から時間が発つにつれ、血腫により圧迫された脳のダメージも不可逆になるため、仮に手術を受けられたとしても助からない可能性が高くなります。

    急性硬膜下血腫はどのように診断しますか

    頭部外傷後に意識障害が出現していれば速やかに頭部CTを行い、そこで診断が可能です。血腫の大きさや場所を特定し、また硬膜下血腫以外の出血や骨折がないか評価を行い、治療方針を決定します。

    急性硬膜下血腫では、他にどのような検査をしますか

    受傷時の状況から頭部以外にも外傷があれば、そちらの検査・治療も平行して行うことがあります。骨盤骨折や腹腔内出血など、頭部以外にも致命的となりうるものがあれば、頭部の治療と併行して、もしくはそれよりも優先して治療を行う必要があるからです。

    急性硬膜下血腫にはどのような治療をしますか

    血腫に厚みがある場合(治療ガイドラインでは1cm)や、意識障害など症状を呈している場合、症状が軽くても徐々に悪化している場合には手術が必要と判断されます。症状が軽く、血腫が少ない場合には安静にして経過観察を行うこともあります。反対に、受傷から時間が経っている場合や、CTですでに広範囲の脳がダメージを受けていることが分かった場合は、手術を行っても症状を改善できない可能性が高いため、手術を行わないことがあります。

    急性硬膜下血腫の手術ではどのようなことをしますか

    貯まった血腫で脳が圧迫されているのが一番の問題なので、血腫がある部位の頭蓋骨を開け(開頭)、血腫を取り除きます。出血している血管が分かれば止血します。血腫を取り除いたあとも、それまで圧迫されていた脳はその後腫れてくるため、外した骨は戻さずに(減圧)、傷を閉じることがあります。 一刻を争い、手術室に行くまでの猶予もない場合等には、救急外来や病室で頭蓋骨に穴を開け、ある程度血腫を取り除いて圧を減じる、といったことをすることもあります。

    急性硬膜下血腫は治る病気ですか

    残念ながら、何らかの後遺症を残すことが多いばかりか、死亡することも多く、手術を行ったとしても約半数が死亡すると言われています。救急搬送や医療のレベルが上った昨今で、受傷から数時間以内に手術が受けられても30%ほどの方は亡くなっています。

    急性硬膜下血腫は、入院後どのように経過しますか

    血腫を取り除いても、それまでの圧迫で脳は傷んでいます。脳のダメージは基本的に不可逆であるため、手術後にどんどん回復するということはあまり望めません。意識が戻らない、または寝たきりの状態に落ち着くこともあります。入院されたのが急性期の病院であれば、病状が落ち着いたところで療養型の病院等への転院も検討されるでしょう。 受傷から手術までが、非常にスムーズで「脳が傷む前に間に合った」ならば、術後回復し、元気に退院される方も中にはいらっしゃいます。

    急性硬膜下血腫ではどの程度入院しますか

    重症度によるので、一概にはいえず、数日で済むものから数ヶ月・数年以上かかるものまであります。重症の場合の多くは一命を取り留めたとしても意識が戻らない、寝たきりになる、等の後遺症が残るため、家に帰れない・社会復帰できないことも珍しくありません。


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