えぼらしゅっけつねつ
エボラ出血熱
高熱が出るとともに下痢や出血を起こして全身の状態を悪化させる感染症。死亡率も50%以上と非常に高い
8人の医師がチェック 85回の改訂 最終更新: 2017.12.06

エボラ出血熱の基礎知識

POINT エボラ出血熱とは

エボラ出血熱はアフリカを中心に発生している感染症です。日本で発症することはないと考えられていますが、飛行機で世界各国と行き来できる状況では日本で発症者が出てもおかしくないと考えられています。高熱・下痢・出血が主な症状で、全身状態が悪化するため死亡率は50%以上と高い感染症です。 検査はウイルスの遺伝子検査を行います。治療は特効薬がありませんので、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。治療すると同時に周囲に感染を広げないようにする必要があるため、専門的な医療機関にかかる必要があります。流行国に行った後に高熱・下痢・出血が出現した場合は、お近くの感染症内科にかかってください。

エボラ出血熱について

  • 高熱が出るとともに下痢や出血を起こして全身の状態を悪化させる感染症。死亡率も50%以上と非常に高い
  • 日本国内で発症することはないと考えられる
  • アフリカを中心に毎年発生
    • 2014年にはごく少人数ながら、アフリカ以外への感染の広がりが確認された
  • 空気感染はせず、接触感染(血液など、ウイルスを多く含む体液を直接触れることで感染)すると考えられている
    • アフリカでは、エボラウイルスをもったコウモリと人間が接触したり、またエボラウイルスで死亡した遺体を取り扱う際などに感染する例が多いと報告されている
  • ウイルスに感染してから数日から20日の潜伏期間を経て症状が出始める

エボラ出血熱の症状

  • 主な症状
    • 発熱、寒気、震え、頭痛など、かぜに似た症状から発症
    • 初期症状自体には、あまり特徴的なものがないため、早期の診断は難しいとされている
  • 悪化した場合の症状
    • 吐き気や下痢、それに伴う脱水や体内のミネラル電解質)異常
    • 止血機能が低下することによる出血(消化管出血、傷口からの出血)
    • 倦怠感や脱力感

エボラ出血熱の検査・診断

  • 血液検査
    • 白血球血小板が減少してい内科の確認
    • 肝機能が低下していないかの確認
    • 腎機能が低下していないかの確認
  • 遺伝子検査
    • 原因ウイルスに反応する検査キットを用いて病気の疑いがないかなどを調べる
    • 血液を特殊な医療機関に輸送して詳しい分析を行うため、確実な診断には1週間前後が必要
  • レントゲンCT検査などの画像検査で診断することはできない

エボラ出血熱の治療法

  • 現時点でウイルスに対する確実な治療薬は開発されていない
    • ファビピラビルという薬が効果があるという報告がある
  • 主な治療
    • 入院の上で、全身的な治療(点滴による補液や、必要に応じた人工呼吸器などの使用など)を行う
  • ウイルスに感染してから数日~20日後に症状が出始める
    • アフリカ等で感染した患者がこの潜伏期間の間に移動することで、感染が拡大してしまう
    • 潜伏期間が長いほど感染を拡大させやすいという報告がある
  • 治療後の経過
    • 致死率は50%から90%と言われている
    • 治療にあたる病院の医療水準に大きな地域差があるため、明確なことは不明
  • 予防
    • 現時点で有効なワクチンはない
    • 感染の危険性がある場所を訪れる際には、適切な防具(マスクや手袋など簡単なものから、よりリスクの高い場所を訪れる場合には本格的な全身防具まで)を装着する必要がある

エボラ出血熱の経過と病院探しのポイント

エボラ出血熱が心配な方

エボラ出血熱では発熱や頭痛というような初期症状がみられ、病状が進行すると血便や吐血が生じることがあります。国内で感染することはありませんが、西アフリカなどの流行地域から帰国後の方で上記の症状があれば可能性があります。

ご自身がエボラ出血熱でないかと心配になった時には、もしお近くに感染症科のある病院や、感染症専門医のいる病院があるのであれば、そのような病院を受診されるのが適切でしょう。エボラ出血熱そのものが国内では珍しいこともあり、慣れている医師でないと診断をつけることが困難です。受診の際には、いつからいつまでどこに旅行をしていたかを医師に伝えてください。

特殊な検査を行わないとエボラ出血熱の診断はつかないため、大学病院などを除けば基本的には血液検査を病院外の検査センターに送って、結果が返送されてくるのを待つということになります。

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エボラ出血熱でお困りの方

エボラ出血熱には特効薬がありません。集中治療室で、人工呼吸器や様々な点滴薬を使用しながら症状が改善するのを待つことになります。

医療機関によって治療可能な水準が異なるため、中小規模の病院であれば、診断がエボラ出血熱だと判明した時点で(またはその疑いが生じた時点で)大病院へ転院の上で治療を行うこととなります。

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