2015.10.24 | ニュース

エボラウイルスは、半年経っても体の中に残っていた

シエラレオネの93人の精液検査

from The New England journal of medicine

エボラウイルスは、半年経っても体の中に残っていたの写真

エボラ出血熱はエボラウイルスの感染によって起こり、発症したときに有効な治療はなく、致死率は50%を超えると言われています。生存した男性の精液を調べた結果、発症後7か月以上経った人からもウイルスが見つかりました。

◆シエラレオネの生存者を検査

研究班は、シエラレオネでエボラ出血熱のあと生存した男性を対象として、精液にエボラウイルスが見つかるかを時間を追って調べました。

 

◆7か月から9か月でも26%がウイルス陽性

次の結果が得られました。

計93人の参加者が分析のために開始時の精液検体を提供し、うち46人(49%)が定量RT-PCRで陽性だった。エボラウイルスRNAは、エボラウイルス疾患発症後2か月から3か月で検体が得られた9人の男性全員から、発症後4か月から6か月で検体が得られた40人のうち26人(65%)の精液から、発症後7か月から9か月で検体が得られた43人のうち11人(26%)の精液から検出された[...]。

発症後4か月から6か月の検査では65%の人の精液にウイルスが見つかりました。発症後7か月から9か月の検査では、26%の人の精液にウイルスが見つかりました

研究班は「RT-PCRでの陽性所見がどの程度ウイルスの感染源性と関連するのかについてはデータがまだない。エボラの性感染が疑われる例は報告されているが、まれである[...]」と述べています。

 

エボラ出血熱の症状から回復したあとの経過については、わかっていない部分が多く残っています。2015年10月現在、スコットランドの看護師が、シエラレオネでエボラ出血熱患者の治療に従事していたときに発症し、回復したのち発症から1年以上経って再発したことが報道されています。

ウイルスがどの程度体に残り、再発を起こしたりほかの人に感染する可能性があるのかが、今後の研究で重要な論点になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Ebola RNA Persistence in Semen of Ebola Virus Disease Survivors - Preliminary Report.

N Engl J Med. 2015 Oct 14 [Epub ahead of print]

[PMID: 26465681]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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