2015.07.08 | ニュース

エボラ出血熱に感染しているかどうかが15分でわかる検査キット登場

RT-PCRを基準に感度100%、特異度92%

from Lancet (London, England)

エボラ出血熱に感染しているかどうかが15分でわかる検査キット登場の写真

エボラ出血熱は症状が出ると致死率は50%以上と言われ、素早い診断と治療が必要ですが、遺伝子検査には時間がかかり、高度な施設にアクセスしにくい地域ではさらに難しくなります。新しい診断キット「ReEBOV」は指先を針で刺して採った血液から15分ほどで結果がわかり、簡単な施設でも使えます。国際チームが実際の患者にReEBOVを試し、遺伝子検査陽性の人全員を正しく陽性とするなどの結果を得ました。

◆シエラレオネの106人に対して既存の検査と比較

研究班は、シエラレオネの施設を受診した、エボラ出血熱の疑いがある人106人を対象に、遺伝子検査とともにReEBOVの検査を行い、遺伝子検査の結果を基準に、ReEBOVの結果が一致するかどうかを調べました。

 

◆感度100%、特異度92%

次の結果が得られました。

point-of-care試験において、RT-PCRでエボラウイルス陽性だった28人の患者全員が、指先穿刺迅速診断試験でも陽性となり(感度100%、95%信頼区間87.7-100)、RT-PCRで陰性だった77人中の71人が迅速診断試験でも陰性となった(特異度92.2%、95%信頼区間83.8-97.1)。検査室での試験では、RT-PCRで陽性となった45の検体すべてが迅速診断試験でも陽性となり(感度100%、95%信頼区間92.1-100)、RT-PCRで陰性となった232の検体のうち214が迅速診断試験でも陰性となった(特異度92.2%、95%信頼区間88.0-95.3)。迅速診断試験の結果に対して、二人の独立した検査者による読み取りは、point-of-care試験の95.2%、検査室試験の98.6%で一致した。

患者の目の前で検査をした場合にも、検査室に持ち帰った血液サンプルを使って検査をした場合にも、遺伝子検査でエボラウイルスが発見されたすべての人でReEBOVも陽性となり、遺伝子検査でエボラウイルスが発見されなかった人の92.2%でReEBOVも陰性となりました。ただし、基準とした遺伝子検査でウイルスが発見されなかった場合にも、違うキットを使った遺伝子検査ではウイルスが発見される場合がありました。

 

広い地域で、素早く、高い精度でエボラ出血熱を診断できる方法があれば、適切な治療と救命につながるかもしれません。予防、治療の方法が待ち望まれるのはもちろんのこと、検査の進歩も重要な課題です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

ReEBOV Antigen Rapid Test kit for point-of-care and laboratory-based testing for Ebola virus disease: a fieldvalidation study.

Lancet. 2015 Jun 25 [Epub ahead of print]

[PMID: 26119838]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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