こうけつあつしょう
高血圧症
140/90mmHgより高い血圧が持続している状態。原因には加齢、喫煙、肥満、ホルモンの異常などがある。高血圧症があると心筋梗塞や脳出血などの危険性が増加する。
17人の医師がチェック 164回の改訂 最終更新: 2022.02.18

高血圧症の基礎知識

POINT 高血圧症とは

血圧が高くなった状態です。具体的には140/90mmHg以上の状態を指します。高血圧症を起こす原因はいくつもありますが、多くの人の場合は原因が不明です。高血圧症でなにか症状が出るということはあまりありませんが、高血圧症が持続すると心筋梗塞や脳出血などの他の病気を発症する危険性が増します。診断のために、問診や、身体診察に加えて、血液検査・画像検査などを行います。高血圧症を治療するには生活習慣を見直すことが大切です。また、生活習慣を改善しても血圧の高い場合は降圧薬を用いて治療します。高血圧症が心配な人や治療したい人は内科を受診して下さい。

高血圧症について

  • 血圧が正常値より高い状態が続いていること
    • 医学的には、「収縮期血圧が140mmHg以上」または、「拡張期血圧が90mmHg以上」を満たすと診断される
  • 高血圧の80-90%は原因不明(本態性高血圧)
  • 高血圧そのものはほとんどの場合症状を起こさないが、命に関わるような様々な病気を起こしやすくなるので治療が必要
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高血圧症の症状

  • 高血圧そのものが症状を起こすことはほとんどない
    • まれに頭痛やめまいなどが起こる
  • 悪性高血圧症(血圧が異常に高い状態)になると、高血圧によって全身の臓器に悪影響を及ぼす
    • 腎機能障害(浮腫み、疲弊感など)
    • 視力障害
    • 意識障害
症状の詳細

高血圧症の検査・診断

  • 血圧測定
  • 他の病気が背景にある、二次性高血圧ではないことを確認することが必要
    • 血液検査:腎臓やホルモンの働きなどを調べる
    • 尿検査:腎機能などを調べる
    • 画像検査:血圧を上げるようなホルモンを出す腫瘍がないか調べる
      • CT検査
      • MRI検査
検査・診断の詳細

高血圧症の治療法

  • まずは生活習慣の改善が第一
    • 禁煙
    • 減塩
    • 野菜をよく食べる
    • 肥満があればダイエット
    • 運動
    • 過度の飲酒は控える
  • 生活習慣の改善だけでは高血圧が改善されない場合は薬による治療を行う
    • ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
    • ACE阻害薬
    • ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)
    • カルシウム拮抗薬
    • 利尿薬
    • β遮断薬
治療法の詳細

高血圧症に関連する治療薬

カルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬)

  • 末梢血管や冠動脈を広げることで血圧を下げたり、狭心症の発作を予防する薬
    • 血圧が上昇する原因の一つに血管の収縮がある
    • 血管においてカルシウムイオンが細胞内に入ると血管が収縮する
    • 本剤はカルシウムイオンが細胞内に入る過程を阻害し血管収縮を抑える
  • 薬剤によっては高血圧のほか、狭心症などに使用するものもある
カルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬)についてもっと詳しく

ループ利尿薬

  • 尿による水分排泄を増やすことで体内の過剰な水分などを排泄し、むくみ(浮腫)などを改善する薬
    • 腎臓の尿細管では尿(原尿)に含まれる水分などを血液中へ戻す再吸収が行われている
    • 本剤は主に尿細管のヘンレループという部位での再吸収を抑えることで尿としての水分排出を増やす作用をあらわす
    • 本剤により体内の過剰な水分が排泄されるため、むくみの改善や血圧を下げる効果などが期待できる
  • 薬剤によっては高血圧症や心不全などに使われる場合もある
ループ利尿薬についてもっと詳しく

α2刺激薬(高血圧治療薬)

  • 中枢の交感神経α2受容体を刺激することで血管を拡張させ血圧を下げる薬
    • 末梢における交感神経の活動が活発になると血管が収縮し血圧が上がる
    • 中枢の交感神経α2受容体を刺激すると末梢における交感神経の活動が抑制される
    • 本剤は中枢のα2受容体への刺激作用により血管拡張作用などをあらわす
α2刺激薬(高血圧治療薬)についてもっと詳しく

高血圧症の経過と病院探しのポイント

高血圧症が心配な方

高血圧症は一般的な病気で、特に症状は出ませんが健康診断などで血圧が高いと指摘されたことのある方は多いのではないかと思います。そのような場合、一般内科の受診をお勧めします。高血圧はとても一般的な病気であるため、専門医でなくとも一般的な治療は十分に行うことができます。ただし、治療に難渋するケースでは循環器内科や腎臓内科など高血圧症を専門としている診療科の受診を勧められる場合があります。

高血圧症の診断そのものは血圧測定で行うため、診断はクリニックでも病院でも行うことができます。その他、高血圧症による動脈硬化の評価として脈波測定検査、頚動脈エコーなどの検査が行われることがあります。脈波測定検査や頸動脈エコー検査は、病院かもしくは一部のクリニックでしか行われていません。もしこれらの検査が必要と判断されれば紹介の上で病院を受診することになります。

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高血圧症でお困りの方

高血圧症の治療の中心は、血圧が上がらないように日々の生活習慣を整えることです(運動療法、食事療法)。それで改善が得られない部分については、内服薬で対応します(薬物療法)。

したがって高血圧症の治療は特殊な設備を要するものではなく、内科のクリニックで十分に行うことができます。その中でも先述の関連した専門資格を持っている医師であれば、よりきめ細やかな治療や、合併症の早期発見が可能です。

長期的な通院が必要となりますので、何よりも主治医との相性や病院の通いやすさが重要です。信頼できて食事や運動など日常生活の悩みをしっかり相談できる主治医を見つけることはとても大切で、細かな薬の使い分けなどよりも影響が大きい部分かもしれません。

また、高血圧症があると心筋梗塞脳卒中など、様々な他の病気を発症しやすくなります。このような異常が生じた場合に早期発見することも大切です。主治医を作り定期的な検査を受けることと、それと同時に自身でも高血圧についての理解を深め、食事の工夫を含めたセルフケアを行っていくことが、他の病気にも増して重要になるのが高血圧症です。

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