2016.12.25 | ニュース

ポケモンGOで平均BMI27のアメリカ人が1日955歩アップ

1,182人のオンライン調査から

from BMJ (Clinical research ed.)

ポケモンGOで平均BMI27のアメリカ人が1日955歩アップの写真

このごろ不思議な場所で歩いている人を見かけましたか?「ポケモンGO」のためによく歩くようになった人もいるかもしれません。アメリカでプレイヤーの歩数を調べたところ、最初の1週間で1日平均955歩多くなっていたことが報告されました。

ハーバード大学などの研究班が、「ポケモンGO」のプレイヤーの歩数の変化を調べた研究を、医学誌『BMJ』のクリスマス特集に寄稿しました。

『BMJ』は世界で最も強く支持されている医学誌のひとつです。例年クリスマス特集として遊び心のある研究を掲載しています。

この研究は、オンライン調査により、アメリカに住んでiPhone 6シリーズを使っている18歳から35歳の人を対象に、歩数の変化と、「ポケモンGO」をプレイしたかどうかを聞き取っています。

歩数はiPhoneの機能で測定された歩数のスクリーンショットを送ってもらうことで調べました。「ポケモンGO」をインストールしてもトレーナーレベル5まで進まなかった人は対象から除きました。プレイしていない人622人、プレイした人560人から完全な回答が集まりました。

プレイした人については、「ポケモンGO」をインストールする前後で歩数の変化を統計解析しました。プレイしていない人では、プレイした人の半数がインストールを終えた7月8日を基準として、前後の歩数の変化を解析しました。

 

回答者の肥満度を表すBMIは、プレイしていない人で平均26.9、プレイした人で平均27.9でした。BMIは体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]で計算され、22前後が健康的とされます。BMIが25以上の人は、多くの医学研究では「過体重」として扱います。

ここではBMI30以上の肥満がある人が、プレイしていない人で162人(26.1%)、プレイした人で183人(32.7%)いました。

プレイした人は、「ポケモンGO」をインストールする直前の4週間に1日平均4,256歩だけ歩いていました。インストールした直後の1週間には、プレイしなかった人に比べて、歩数の変化が1日平均955歩多くなっていました。インストールしてから日が経つにつれて歩数は元の水準に近づき、6週後にはプレイした人としなかった人に統計的な差がない状態になりました。

研究班は考察として、「この研究で「ポケモンGO」と歩数の変化の関連は短期的だったが、ゲームを通じて増えた運動量を維持する人がいるかもしれない」と述べています。

 

ここで報告された効果は、統計的には6週間以内にとどまりました。長続きする運動習慣に結び付けるには別の工夫も要るかもしれません。

「ポケモンGO」は大きな社会現象を起こしました。11月には東北の津波の被害を受けた地域で珍しいポケモンが見つかりやすくなるというイベントが行われ、たくさんのプレイヤーが東北地方に出かけました。ゲームが人を動かす効果には医学研究者も注目しています。

健康のために運動は大切ですが、「運動しよう」と思ってもなかなか実践できないものです。楽しみながら運動習慣をつけられる方法が見つかるといいですね。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Gotta catch’em all! Pokémon GO and physical activity among young adults: difference in differences study

BMJ. 2016 Dec 13.

http://www.bmj.com/content/355/bmj.i6270

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る