むちゃ食い障害の治療法の研究まとめ
ここで紹介する研究は、成人のむちゃ食い障害に対する治療の効果を調べた過去の研究をまとめたものです。
研究班は、文献データベースから最新で2016年5月までの範囲を参照して、むちゃ食い障害の治療について行われた過去の研究報告を集めました。
認知行動療法が効果あり
見つかった研究で、治療によりむちゃ食い行動の回数を減らし、むちゃ食い行動をなくす効果が報告されていました。治療しなかった場合に比べて、以下のようにむちゃ食い行動がなくなる割合が増えていました。
- 認知行動療法:4.95倍
- リスデキサンフェタミン:2.61倍
- 第二世代抗うつ薬:1.67倍
リスデキサンフェタミンは日本では未承認の薬です(2016年9月時点)。海外でADHD(注意欠陥・多動性障害)などの治療に使われています。
リスデキサンフェタミンの副作用の可能性があることとして、頭痛、胃腸症状、睡眠障害などが報告されていました。
むちゃ食い障害は治せる病気
むちゃ食い障害は他人から理解されにくい病気です。神経性大食症と違い、指を突っ込んで吐いたり下剤を乱用するなどの行動はともなわないとされます。患者は太っている人が多いのですが、食べ過ぎることに激しい苦痛を感じるのも特徴です。
認知行動療法はものごとの受け止め方を変える治療法です。うつ病など心理的な要素が関係する多くの病気や症状に対して使われています。むちゃ食い障害に対して、この報告ではむちゃ食い行動をなくす効果として薬よりも高い結果が示されています(正確には統計的に直接比較はされていません)。現在ある中では有力な治療法のひとつと言えるでしょう。
医学の観点から、摂食障害の理解は年々進んできています。困っている人がいれば、精神科や心療内科などで相談してみることで、有効な治療を始められるかもしれません。
執筆者
Binge-Eating Disorder in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis.
Ann Intern Med. 2016 Sep 20.
[PMID: 27367316]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。