2015.11.30 | ニュース

葉酸とビタミンB6は上咽頭がんに効果的

1,200人の食事データから

from The British journal of nutrition

葉酸とビタミンB6は上咽頭がんに効果的の写真

ビタミンの1種である葉酸など、代謝に関連する栄養素が、上咽頭がんのリスクと関係する可能性が今までに報告されていました。そこで今回、具体的にどのような栄養素が上咽頭がんと関連するのか調査されました。

◆1,200人の食事データと上咽頭がんとの関係を調査

研究チームは、3ヶ月以内に上咽頭がんと診断された600人の中国の成人と、年齢・性別・家庭環境が類似した健康な成人600人の計1,200人を対象としました。

調べる栄養素には、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニンとが挙げられました。食事中に摂取した栄養素が調査対象者のがんとどのように関係しているのかを調べるために、調査票を使って78 項目の質問に答えてもらいました。

 

◆葉酸とビタミンB6で上咽頭がんのリスクが低下

調査の結果、以下のことが分かりました。

第1四分位に対して第2〜4四分位における上咽頭がんの補正されたORは、葉酸ではそれぞれ0.66(95%信頼区間:0.48-0.91)、0.52(95%信頼区間:0.37-0.74)、0.34(95%信頼区間:0.23-0.50)であり(Ptrend<0.001)、ビタミンB6ではそれぞれ0.72(95%信頼区間:0.52-1.00)、0.55(95%信頼区間:0.39-0.78)、0.44(95%信頼区間:0.30-0.63)だった(Ptrend<0.001)。上咽頭がんのリスクに対する有意な関係性は、食事由来のビタミンB12とメチオニンの摂取量については見られなかった。

つまりこの研究から、葉酸やビタミンB6を多く摂る人で上咽頭がんになるリスクは減少していることが示されました。

 

葉酸やビタミンB6を多く含むような食生活が上咽頭がんになりにくいかもしれないという研究でした。ただし、そのような食生活の中で葉酸やビタミンB6以外の要因が上咽頭がんのリスクの減少に関わっている可能性も否定出来ません。しかし、葉酸やビタミンB6は体に良い働きをするビタミンとしても知られているため、摂りすぎにならない範囲で適切に摂取するように心掛けることは必要です。これまで知られていた作用以外にも、良い面はまだあるのかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Folate, vitamin B6, vitamin B12 and methionine intakes and risk for nasopharyngeal carcinoma in Chinese adults: a matched case-control study.

Br J Nutr. 2015 Oct 30 [Epub ahead of print]

[PMID: 26515433]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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