◆6,192人の2型糖尿病患者を調査
ヨーロッパにおけるがんと栄養に関する追跡調査で対象とされた人の中から、6,192人の2型糖尿病患者を研究対象としました。
食事中の炭水化物と、4種類の脂肪の摂取量を食事内容の質問票で調査し、総死亡率と、心血管疾患による死亡率に対する影響を計算しました。
4種類の脂肪は、以下のものを調べました。
- 総脂肪
- 飽和脂肪酸(肉やバターなど動物性脂肪に多く含まれる)
- 一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルに多く含まれる)
- 多価不飽和脂肪酸(魚の脂肪に多く含まれる)
◆炭水化物を脂肪に変えると死亡率が上がった
調査の結果、以下のことが分かりました。
平均9.2年±標準偏差2.3年の経過観察後、研究対象者のうち791人(13%)は死亡し、そのうち268人(4%)は心血管疾患が死因だった。10gまたは5%分の炭水化物を総脂質(ハザード比:1.07[1.02-1.13])または飽和脂肪酸(ハザード比:1.25[1.11-1.40)に置き換えると総死亡率が増加し、一価不飽和脂肪酸に置き換えると総死亡率は減少した(ハザード比:0.89[0.77-1.02])。炭水化物を飽和脂肪酸(ハザード比:1.22[1.00-1.49])または多価不飽和脂肪酸(ハザード比:1.29[1.02-1.63])に置き換えると、心血管疾患による死亡率は増加した。
つまり、計算上、2型糖尿病患者の食事中の炭水化物を総脂質、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に置き換えることで死亡率が増加することが示されました。
食事に含まれる脂肪の種類によって、死亡率に対する影響が違うかもしれないという結果でした。今後さらに研究が進むことで、食事療法のガイドラインも変化してくるかもしれません。
【訂正11/11】結果の説明に誤りがあり、引用箇所の記述と一致していませんでした。下記のとおり訂正します。
誤)2型糖尿病患者の食事中の炭水化物を総脂質、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸に置き換えることで死亡率が増加する一方で、多価不飽和脂肪酸に置き換えると死亡率が減少する
↓
正)2型糖尿病患者の食事中の炭水化物を総脂質、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に置き換えることで死亡率が増加する
執筆者
The association of substituting carbohydrates with total fat and different types of fatty acids with mortality and weight change among diabetes patients.
Clin Nutr. 2015 Aug 28 [Epub ahead of print]
[PMID: 26342536]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。