◆2年治療、1年休薬、さらに2年治療
この研究は400人の子どもを対象とし、2年の治療期間、1年の休薬期間、2年の治療期間の3段階であわせて5年間にわたって行われました。
最初の2年間では対象者は3グループにランダムに分けられ、それぞれアトロピンの用量を0.5%、0.1%、0.01%として使用しました。次の1年間ではすべてのグループでアトロピンを中止しました。
最後の2年間には、第2段階の1年間で近視の進行が見られた子どもだけが0.01%のアトロピンを使用しました。
◆0.01%で効果最大
第2段階までの3年間で次の結果が得られました。
第1段階では、高い用量でより大きい効果が見られる用量依存応答があったが、第2段階(ウォッシュアウト期)で逆に用量に依存して近視の増加があったため、試験開始後3年では近視の進行を減少させるのにアトロピン0.01%が最も有効という結果だった。
第1段階では用量が多いほど近視の進行を抑える効果が強く見られましたが、第2段階では第1段階で用量が多かったほど近視が進行し、3年経過したときには最初に0.01%を使ったグループの効果が最も大きくなっていました。
5年間で安全性について次の結果が得られました。
アトロピン0.01%はまた、より高用量の場合に比べて、瞳孔散大を起こす作用が最も小さく(0.8mm)、調節機能の阻害が最も小さく(2-3D)、近見視力障害はなかった。
瞳孔が開くなど、アトロピンの副作用として予想された影響は、0.01%で最も小さくなっていました。
研究班はこれらの結果から、「5年間を通じて、0.01%アトロピンの点眼はより高用量のアトロピンに比べて近視の進行を遅らせることにより有効であり、視覚への副作用はより少なかった」と結論しています。
近視は非常に多くの人に関わる問題で、もしアトロピンで確かな効果が得られれば、大きな結果に結び付くかもしれません。
執筆者
Five-Year Clinical Trial on Atropine for the Treatment of Myopia 2: Myopia Control with Atropine 0.01% Eyedrops.
Ophthalmology. 2015 Aug 11 [Epub ahead of print]
[PMID: 26271839]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。