コロナ後遺症と正しく向き合うために | MEDLEYニュース
2021.12.14 | コラム

コロナ後遺症と正しく向き合うために

コロナ後遺症の症状一覧、いつまで続くか、受診の目安、後遺症外来などについて
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(c)Pattarisara-stock.adobe.com

国内で2回のワクチン接種を完了した人は1億人に迫り、マスク着用など日々の感染対策が定着したこともあり、猛威をふるった第5波も落ち着きをみせています。オミクロン株などの懸案事項はあるものの、日本では徐々に従来の生活を取り戻すことができていると言えそうです。

しかし、国内に限ってもこれまでに170万人以上の人が新型コロナウイルスに感染しました。多くの人は元通りに回復した一方で、長引く後遺症に苦しむ人も少なくありません。

そうした状況下で、12月1日に厚生労働省から「罹患後症状のマネジメント」という手引き書が発刊されました。これは医療従事者向けのものなので、実際に後遺症に苦しむ人が読むには少し難しい内容です。そこで、本コラムではこの手引き書の概要を簡単に紹介しつつ、どのように後遺症に向き合うのがよいか考えてみます。
(2021.12.10時点の情報に基づいて記載しています。)

 

*公式には「罹患(りかん)後症状」という用語を使いますが、このコラムでは分かりやすさを重視して「後遺症」と表現することにします。

 

1. コロナ後遺症の期間と具体的な症状は?

まず、コロナ後遺症はどれくらい続くのでしょうか。

様々なデータがあり一概には言えませんが、イギリスで何らかの症状がある新型コロナ患者7万6,000人を調査した結果では、37.7%の人が12週間以上にわたって長引く何らかの症状がありました。海外の複数の報告をまとめたデータでは、診断あるいは退院後6ヶ月かそれ以上の時点で54%の人が何らかの症状を有する、といったものもあります。

次に、具体的にどのような症状が起きるかを確認します。

日本の入院患者525人を追跡したデータでは、入院中/診断3ヶ月後/診断6ヶ月後の時点で以下のような頻度で症状がみられています。

 

【入院中にみられた症状一覧と後遺症の頻度】

入院中にみられた症状 入院中 診断3ヶ月後 診断6ヶ月後
37℃以上の発熱 78% 6% 5%
だるさ、疲れやすさ 61% 21% 21%
57% 8% 7%
息苦しさ 43% 15% 13%
味覚障害 38% 9% 9%
嗅覚障害 37% 10% 7%
35% 7% 5%
頭痛 35% 9% 9%
関節の痛み 29% 5% 7%
喉の痛み 29% 4% 3%
筋力の低下 27% 10% 9%
睡眠関連のトラブル 26% 10% 11%
集中力の低下 26% 10% 11%
筋肉痛 24% 6% 5%
下痢 23% 3% 3%
脱毛 17% 12% 10%

 

このように、非常に多様な症状があります。3ヶ月や6ヶ月経つと、それぞれの症状は10%かそれ以下くらいの人しか自覚していませんが、どれか1つでも症状のある人は少なくありません。

海外の報告では、高齢者、肥満の人、女性で後遺症が出やすいと報告されています。また、ワクチン接種後に感染した人では、長引く後遺症の頻度は半分くらいに減少するとされています。

 

2. コロナ後遺症はどのように診断される?

「コロナにかかってから月単位で咳が長引く」
「コロナにかかってから夜眠れなくなった」

こうした症状はコロナ後遺症として矛盾しないため、「きっとコロナのせいだ、様子を見ていれば治る」と考える人は多いと思います。実際に大抵はコロナの後遺症で、自然に少しずつ治っていきます。

しかし、中にはコロナ感染を引き金としてコロナとは別の病気を新しく発症している人もいます。また、コロナとは全く関係なく偶然同じ時期に他の病気を発症することもありえます。

こうした隠れた病気を見つけるのはお医者さんの腕の見せ所です。「おそらくコロナのせいだろう」で済ませずに、「他の病気の可能性は低そうだ」という証拠を集めて診断に辿り着く方法を医学的には「除外診断」と呼びます。このように、コロナ後遺症という診断はきちんと他の病気も吟味したうえで、除外診断によってなされるものです。

除外診断のために検査を要することもありますが、必ずしも大病院で徹底的に詳しい検査を受ける必要はありません。問診や診察で考えうる病気を絞り込み、必要かつ十分な検査を提案するのもまたお医者さんの腕の見せ所です。多くの人は、クリニックや診療所でもコロナ後遺症の診断を受けるのに十分な対応をしてもらえると思われます。

 

3. コロナ後遺症かもしれないと思ったらどのように対処したらよい?

それでは、コロナ後遺症と思われる症状がある人は具体的にはどのように対応したらよいでしょうか。

まず、症状も軽くて次第に良くなっている人は医療機関にかかる必要性は乏しいと考えられます。問題となるのは症状が強くて困っている人や、なかなか良くならなかったりむしろ悪化している人です。

そうした人は、まずは近くの内科(あればかかりつけ)を受診してください。他の病気が疑われる人では必要に応じて専門機関にも紹介してくれますし、コロナ後遺症としての症状が強ければコロナ後遺症の専門外来などにも紹介してくれると考えられます。

このようにまずはお近くの内科を受診することで、正しい道筋をつけてくれると思います。なお、感染対策の面から、コロナ感染後しばらくは他者との接触を避けて受診する必要があります。いつから通常通り受診してよいかは医療機関によって異なるので、受診前に電話などで問い合わせておくと安心です。

 

いきなり後遺症専門外来を受診してもOK?

コロナ後遺症外来のある医療機関はほとんどが都市部であり、紹介状や予約が必要であることが多いです。そのため受診のハードルはありますが、通える範囲内であり自身で予約できるのであれば、いきなり後遺症外来を受診して相談することも可能です。

ただし、注意点もあります。まずは先述の通り、自分ではコロナ後遺症だと感じていても実は違う病気による症状ということもありえる点です。そのため、もともと持病でかかりつけの医療機関がある人は、自分の病状を理解しているかかりつけのお医者さんにまず先に相談するのが良いと考えられます。

また、コロナ後遺症の治療では特効薬のように効くものは少なく、月単位で気長に症状に向き合っていく必要があります。こうした弱っている患者心理につけこんで、効果が不明で高額な保険適用外(自費)検査・治療を勧める後遺症外来/医療機関も残念ながら散見されます。コロナ後遺症は基本的に自然に良くなっていくものなので、そうした治療を受けているおかげで良くなったと勘違いする人が多い点にも注意が必要です。自分でもそうした医療機関もあることに留意しつつ、信頼できるかかりつけ医がいればそのお医者さんに後遺症外来を紹介してもらうのが安心だと思います。

 

4. 最後に

コロナ後遺症に対してどのように対処していくか、概論を述べました。

要点は以下の通りです。

 

【このコラムのまとめ】

  • 感染後3-6ヶ月経っても、30-50%前後の人が何らかの後遺症を自覚している
  • 多くの人で後遺症は時間の経過とともに自然に軽くなっていく
  • コロナ後遺症は「除外診断」によって診断される
  • 症状が強い人や、改善がない人はまずは内科を受診する(あれば、かかりつけ)
  • 後遺症の程度や、他の病気の可能性に応じて、後遺症外来やその他の専門医療機関に紹介してもらえる

 

このコラムが後遺症で困っている人の助けになれば、と思います。長引く症状があれば一人で悩まずに、お医者さんと一緒に考えていくことをお勧めします。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。