2019.09.24 | コラム

痔瘻(じろう)は放って置かないで!繰り返すお尻の症状に要注意

お尻から膿が出たり、しこりが触れて痛みを感じたりしたら受診のサインです
痔瘻(じろう)は放って置かないで!繰り返すお尻の症状に要注意の写真
(c)buritora-stock.adobe.com

下痢がちな男性に起きやすい、痔瘻(じろう)というお尻の病気があります。痔瘻は「あな痔」とも呼ばれていて、お尻に穴ができるタイプの痔です。
お尻の悩みで受診するのは恥ずかしさを伴いますが、痔瘻は基本的に自然には治らない病気です。そればかりか放っておくと炎症が繰り返し起こって状態が悪化してしまうことすらあります。

今回のコラムでは、「痔瘻の症状」について詳しく説明しますので、当てはまるものがある人は、早めにお医者さんに相談してください。

(なお、痔瘻ができるしくみや予防法、できやすい人については前回のコラムを参考にしてください)

 

1. 痔瘻の前段階、肛門周囲膿瘍の症状は急激にあらわれる

痔瘻はある日突然生じる病気ではありません。前段階として、肛門に炎症が起きてが溜まる「肛門周囲膿瘍」ができていることがほとんどです。肛門周囲膿瘍とは、下痢などで傷ついた肛門から細菌が体内に入り込むことで起こります。膿が溜まった空間は細菌の通り道となり、次第に長く伸びてお尻の皮膚に穴が開きます。こうしてできたトンネルが痔瘻です。

 

肛門周囲膿瘍になると、細菌の増殖によって強い炎症が起きて次のような症状が現れます。

 

肛門周囲膿瘍の主な症状】

  • 肛門の周りが急に痛くなる
  • お尻が赤く腫れて、しこりができる
  • 発熱する(しばしば38度以上)

 

多くの人は、お尻が急激に痛み、あわせてお尻に腫れや硬いしこりが現れることで異常に気付きます。また、お尻が腫れるタイミングで、38度以上の熱が出ることも珍しくありません。

肛門周囲膿瘍による激しい痛みは、溜まった膿を出すことで速やかに良くなります。症状がある人は、早めに医療機関を受診して排膿処置を受けてください。

 

2. 痔瘻の症状は繰り返しあらわれる

もちろん肛門周囲膿瘍になった全ての人が痔瘻に移行するわけではありませんが、肛門周囲膿瘍の段階で膿を出しきったとしても、膿があった空間が痔瘻へと移行する人は多いです。また、膿ができた場所がお尻の深い所などであれば、トンネルができてもほとんど痛みを感じないことがあります。そのため、痔瘻の状態になって初めてお尻の異変に気がつく人もいます。

 

痔瘻による主な症状として以下があげられます。

 

痔瘻の主な症状】

  • お尻から膿が出る
  • 肛門近くにイボのようなものが触れる
  • イボやその周囲に腫れや痛みを定期的に繰り返す

 

痔瘻ができると、肛門近くにできた穴から時々膿が出てくるようになるので、知らないうちに下着が汚れることが多くなります。穴はごく小さいため、自分で見てもすぐには分からないかもしれません。触ってみると小さなしこりがあることから、穴というよりニキビやイボのようなものができた、と感じられることが多いです。このイボのようなものが腫れ上がって痛み、そのあと潰れて膿が出ることもあります。

 

塗り薬では治らない

痔瘻は肛門の内側と外側をつなぐトンネルです。穴があいている限り、下痢などをきっかけにトンネルに細菌が侵入して感染が繰り返され、膿や腫れ、痛みなどの症状が定期的に現れることがあります。つまり、たとえ市販の外用薬などを使った後に症状がなくなったとしても、完治したというわけではありません。むしろ感染を繰り返すたびにトンネル周囲の状態は悪化し、長年その状態が続くと、肛門の機能が損なわれてしまうこともあります。

上記の症状に一つでも当てはまる人は、自分で市販薬を塗るなどして一時しのぎをするのではなく、医療機関を受診するようにしてください。

 

3. 痔瘻かもと思ったら、早めに受診を

一度できた痔瘻が自然に消えてなくなることは非常にまれです。痔瘻を根本的に治すためには、トンネルをくり抜いたり切り開いたりするような外科的治療が必要になることがほとんどです。

痔瘻は感染を繰り返すほど治療法が複雑になり、治るまでに時間がかかってしまう病気です。お尻の症状で医療機関を受診することはなかなか気が進まないものですが、症状がある人はできるだけ早めに診察を受けることをおすすめします。痔をみてもらえる診療科としては、肛門科、外科(とくに消化器外科・大腸外科)、消化器内科などがあります。

 

とはいえ、まずは痔瘻そのものから遠ざかるためにも、前回のコラムを参考にしながら、少しでもお尻に優しい生活を送るよう心がけてみてください。

 

 

執筆者

池田 飛鳥

参考文献

・「肛門疾患(痔核・痔痩・裂肛)診療ガイドライン 2014年版」、日本大腸肛門病学会/編、南江堂

・「大腸・肛門外科の要点と盲点(Knack & Pitfalls)第3版」幕内雅敏/監修 杉原健一/編、文光堂、2014年

・Nesselrod Jp:Pathogenesis of common anorectal infections.Am J Surg. 1954 Nov;88(5):815-7.

・佐原力三郎:痔瘻の病因,分類. 外科. 77. 2015, 644-647.

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。