2017.12.02 | ニュース

血糖値を下げるSU剤で重症低血糖はどれくらい起こるのか?

14,012人ずつでメトホルミンと比較

from The American journal of medicine

血糖値を下げるSU剤で重症低血糖はどれくらい起こるのか?の写真

スルホニルウレア(SU剤)は血糖値を下げる薬です。2型糖尿病の治療に使われますが、一時的に血糖値が下がりすぎる低血糖には注意が必要とされます。イギリスの統計から低血糖の頻度が検討されました。

2型糖尿病に対するSU剤とメトホルミンを比較

カナダの研究班が、2型糖尿病に対して薬物治療を受けている患者について、低血糖の多さの違いを調べ、結果を医学誌『The American Journal of Medicine』に報告しました。

低血糖は薬剤の作用などにより一時的に血糖血液中のブドウ糖のこと。人が活動するためのエネルギー源。血液中の濃度を血糖値といい、糖尿病の診断に用いられる値が下がりすぎた状態です。低血糖は意識を失うなどの症状をあらわすこともあり、特に重症では命に関わります。

この研究は、イギリスの統計データを解析することで、入院を必要とする低血糖が起こる頻度をメトホルミンとSU剤について比較しています。

メトホルミンとSU剤はどちらも血糖値を下げる薬です。メトホルミンは最初に使われることが多い代表的な薬です。

SU剤はあるグループの薬剤の総称です。日本でも使われている薬剤の例として、グリベンクラミド(商品名:オイグルコン®、ダオニール®など)やグリクラジド(商品名:グリミクロン®など)、グリメピリド(商品名:アマリール®など)はSU剤に分類されます。

統計データのうち、1998年4月から2012年末までの間にメトホルミンかSU剤のどちらか1剤のみの血糖降下薬を使って2型糖尿病の治療を始めた人が対象とされました。SU剤を始めた14,012人と、メトホルミンを始めた14,012人が、似た背景のある人どうしの組として選ばれ、比較されました。

 

SU剤はメトホルミンの4.53倍

解析から次の結果が得られました。

2型糖尿病に対する初期単剤治療として、メトホルミンに比べてスルホニルウレアの使用は重症の低血糖の発生率上昇と関連した(発生率1,000人年あたり2.4件、95%信頼区間1.90-2.90、ハザード比4.53、95%信頼区間2.76-7.45)。

メトホルミンを始めた人に比べて、SU剤を始めた人では期間あたり4.53倍の率で重症低血糖が多く発生していました

研究班は「重症低血糖による悪い結果を考えれば、臨床医は患者がメトホルミンに耐えないまたは禁忌がある場合には、ほかの血糖降下薬を考慮するべきである」と結論しています。

 

SU剤の注意点は低血糖?

2型糖尿病の治療で最初に使う薬として、SU剤はメトホルミンよりも重症の低血糖を起こしやすいとした報告を紹介しました。

日本糖尿病学会による『糖尿病診療ガイドライン治療や検査の場面において、医療従事者や患者が、適切な判断や決断を下せるように支援する目的で体系的に作られた文章のこと2016』には、「低血糖に関しては、SU薬はメトホルミンの4-5倍[...]起こしやすいとされている」との記載があります。

実際にはほかにも治療効果など多くの観点を総合して薬が選ばれています。その中で低血糖についても、使用した人のデータを参照することで、過去の事実に基づいた判断が可能になっています。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Sulfonylureas as Initial Treatment for Type 2 Diabetes and the Risk of Severe Hypoglycemia.

Am J Med. 2017 Oct 12. [Epub ahead of print]

[PMID: 29032229]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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