ザイティガとザルティア取り違え防止のお願い
ザイティガ®錠(一般名アビラテロン)とザルティア®錠(一般名タダラフィル)の取り違えなどが発生していることから、医療関係者に注意を求める「お願い」の文書が、製造販売などに関わる各社の連名で出されました。
文書によると、2014年9月から2017年7月末までに、処方時の選択ミスや調剤時の取り違えが6件報告されています。文書に記載された4件の事例では健康被害は出ていません。
ザイティガ、ザルティアとは?
ザイティガは「去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果としています。ザルティアは「前立腺肥大症に伴う排尿障害」が効能・効果です。どちらも泌尿器科で診療している前立腺の病気に使う薬ですが、使う場面は違います。
ザイティガの主な副作用は疲労、ほてり、吐き気、むくみ、検査値異常(AST増加、ALT増加、低カリウム血症など)などです。通常はプレドニゾロンと同時に使います。
ザルティアの主な副作用は比較的少数ですが消化不良などがあります。
取り違えて飲んでしまった場合、本来の効果は期待できない反面、こうした副作用が現れる可能性が考えられます。
取り違え対策は?
2015年6月にも、各社連名で「薬剤選択時の取り違え(誤処方・誤調剤)が発生する可能性がある」とした注意喚起が出されています。2015年の注意では、処方・調剤の時に販売名と薬効を確認すること、院内のシステムの見直しを検討することを求めています。
今回の文書も同様の対策を求めるとともに、すでに対策を導入している施設でも異動があった人などに周知徹底を求めています。
さらに処方監査や薬剤交付を行う担当者に対しては、患者からどのような病気の治療を受けているのか聞き取ること、同時に使っている薬や以前に処方された薬を確認することなどを求めています。
薬剤取り違えを防ぐために自分でできることはある?
名前が似ている薬剤の取り違え対策を紹介しました。この対策の中には患者に聞き取りをすることが挙げられています。薬剤師などから質問されれば答えられるように、自分の病名や薬の名前をできるだけ覚えておき、重要な情報はお薬手帳などを使って書き留めておくことが取り違え対策にもつながります。
処方される薬は自分で選ぶわけではないので、医師に任せた気持ちになるかもしれません。しかし、「この薬が効いた」「この薬の副作用が心配だ」といったことを主治医に伝えるためにも、薬の名前を覚えておくことは役に立ちます。ぜひ薬の名前を覚えて、自分の治療に積極的に関わってください。
執筆者
「ザイティガ®錠」と「ザルティア®錠」の販売名類似による取り違え注意のお願い
https://www.lillymedical.jp/jp/JA/_Assets/non_public/Zalutia/PDF/ZLT_IRYO_torichigae_tasha.pdf※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。