2017.08.11 | ニュース

失明の原因にもなる「加齢黄斑変性」、抗酸化ビタミンは予防するか?

文献の調査から

from The Cochrane Database of Systematic Reviews

失明の原因にもなる「加齢黄斑変性」、抗酸化ビタミンは予防するか?の写真

加齢黄斑変性は目の網膜の一部が変化することによって見えにくくなる病気です。喫煙などとの関連が指摘されています。これまでの研究が抗酸化物質を飲むことで予防できるかを調べた結果が調査されました。

イギリスの研究者2人が、抗酸化物質が加齢黄斑変性を予防するかについて、これまでに行われている研究の結果を調査し、結果をまとめて『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

もともと加齢黄斑変性がない人を対象にした研究で、抗酸化物質を摂取するかどうかをランダムに振り分ける方法のものを選んで調査しました。

見つかった研究結果を吟味し、結果が偏っている可能性を考慮して、出ている結果が証拠としてどの程度確かと言えるかをあわせて評価しました。

 

条件に合う5件の研究報告が見つかりました。対象者数は合計76,756人でした。以下の抗酸化物質が試されていました。

  • ビタミン生物が生きていく上で必要な栄養素の一種。炭水化物、タンパク質、脂質以外の有機化合物のことC
  • ビタミンE
  • βカロテン
  • マルチビタミン

ビタミンEの研究では次の結果が得られました。

ビタミンE補充が何らかの加齢黄斑変性の発生を予防しないことの証拠があった(リスク比0.97、95%信頼区間0.90-1.06、高い確度の証拠)[...]。

ビタミンE補充によって加齢黄斑変性予防できないという質の高い結果が出ていました。

βカロテンの研究では次の結果が得られました。

βカロテンの補充が何らかの加齢黄斑変性の発生を予防しないことの証拠があった(リスク比1.00、95%信頼区間0.88-1.14、高い確度の証拠)[...]。

βカロテンの補充によって加齢黄斑変性予防できないという質の高い結果が出ていました。

ビタミンCの研究では次の結果が得られました。

ビタミンC補充が何らかの加齢黄斑変性の発生を予防しないことの証拠があった(リスク比0.96、95%信頼区間0.79-1.18、高い確度の証拠)[...]。

ビタミンC補充によって加齢黄斑変性予防できないという質の高い結果が出ていました。

マルチビタミンについては次の結果が得られました。

マルチビタミン群では何らかの加齢黄斑変性のリスクがわずかに増加した(リスク比1.21、95%信頼区間1.02-1.43、中等度の確度の証拠)[...]。

マルチビタミンを飲んだ人では、加齢黄斑変性がわずかに多く発生しているという、中等度の質の結果が出ていました。

 

抗酸化物質を飲んでも加齢黄斑変性を予防する効果はないとする報告を紹介しました。

加齢黄斑変性を防ぐという目的では、抗酸化物質の効果を期待しないほうがいいでしょう。

ただし、同じ研究者が、同じ『The Cochrane Database of Systematic Reviews』の翌日の日付で、すでに加齢黄斑変性が見つかっている人ではマルチビタミンにより加齢黄斑変性の進行が遅くなると報告しています。

一般に、ビタミンCなどの抗酸化物質は、病気に対して何らかの有益な作用を示す場合もありますが、病気を確実に防いだり治したりする効果はありません。ビタミンCの欠乏による壊血病など、明確に特定の栄養素と因果関係のある病気は、栄養状態が充実した現代の先進国では限られた状況でしか起こる恐れがありません。たとえば妊娠(鉄欠乏など)、極端な偏食、薬物治療による消費、ほかの病気による影響などが考えられます。持病のない若い成人で、妊娠している可能性がなく、食べられないものが多くもない人では、ビタミンの不足による病気はまれです。

またビタミンの中には摂りすぎによる害がはっきりしているものもあります。

ビタミンや抗酸化物質を補充しようと思う時は、目的を考え、自分にとってどの程度不足している可能性があるかをふまえて利用してください。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Antioxidant vitamin and mineral supplements for preventing age-related macular degeneration.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jul 30.

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD000253.pub4/abstract

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]