◆心筋梗塞になった人1000人を追跡調査
アメリカのメイヨー・クリニックなどの研究班が、ミネソタ州で行われた追跡調査の結果から得られた研究結果を専門誌『Journal of American College of Cardiology』で報告しました。
この調査では、はじめて心筋梗塞を発症した平均64歳の対象者1,081人が追跡されました。追跡期間は平均4.9年でした。
対象者の中で心不全になった人、がんになった人の割合が統計解析されました。
◆心不全になった人でがんが多い
解析から次の結果が得られました。
がんの診断の発生率濃度(1,000人年あたり)は、心不全のあった患者では33.7、心不全のなかった患者では15.6だった(P=0.002)。心不全に関連するがんのハザード比は[...]年齢、性別、チャールソン併存疾患指数で調整すると1.71(95%信頼区間1.07-2.73)だった。
心筋梗塞のあとに心不全になった人では、心不全にならなかった人に比べて1.7倍程度、がんが多く発生していました。
研究班は報告の中で「この結果は[...]根底にあるメカニズムをよりよく理解することを訴えかけている」と述べています。
心筋梗塞は心臓の組織に重大なダメージを与え、命を脅かすだけでなく、あとの生活にも影響を残します。起こりうる影響について知るとともに、原因となる動脈硬化などを生活習慣によって防ぐことも大切です。
執筆者
Heart Failure After Myocardial Infarction Is Associated With Increased Risk of Cancer.
J Am Coll Cardiol. 2016 Jul 19.
[PMID: 27417004]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。