◆喫煙することで精子に悪影響はあるのか?
喫煙によって精子にどんな影響があるか、以前からの研究でいろいろなデータが出ています。今回紹介する研究は、これまでにどんな研究がなされているかを調べ、データをひとまとめにしたものです。
20の研究の結果を統合して、合計5,865人のデータを分析しました。具体的には、喫煙する習慣のある人と習慣のない人の精子に差があるかを分析しました。
分析した内容は、「精子の数」・「精子の動きの良さ」・「精液の量」・「精子の形に異常がないか」の4点になります。
◆精子に悪影響が見られていた
喫煙する人としない人を比べると、喫煙者の方が平均で精子の数はおよそ1mlあたり900万個減り、精子の動きの良さは3.48%落ちてしまうという結果になりました。
つまり、喫煙は精子の数は減らし、精子の動きも悪くしているようです。
喫煙の健康への害に関して、がんや心筋梗塞などのリスクを高めることが以前から報告されています。今回の研究では、喫煙が精子の数や動きにまで悪影響を及ぼすことが数字から窺えます。喫煙者の生殖能力の低下が懸念されます。
妊活という言葉が言われるようになって久しいですが、不妊に悩む方にとってその原因を見つけることは大きな価値があります。今回の研究の結果は、不妊の原因を示唆する一つの貴重なデータとなりそうです。
妊活は女性だけでするものではありません。あなたの周りで、妊活している女性のパートナーなのに喫煙している人はいませんか?
執筆者
Cigarette Smoking and Semen Quality: A New Meta-analysis Examining the Effect of the 2010 World Health Organization Laboratory Methods for the Examination of Human Semen.
Eur Urol. 2016 Apr 21. [Epub ahead of print]
[PMID: 27113031] http://www.europeanurology.com/article/S0302-2838%2816%2930069-0/abstract/cigarette-smoking-and-semen-quality-a-new-meta-analysis-examining-the-effect-of-the-2010-world-health-organization-laboratory-methods-for-the-examination-of-human-semen※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。