2016.02.18 | ニュース

腸内環境を整えると、アトピーが治る?

8件の論文データから

from JAMA pediatrics

腸内環境を整えると、アトピーが治る?の写真

アトピー性皮膚炎は、身近な生活環境や食べ物などが原因となっていることもあります。研究チームは腸内細菌に着目し、シンバイオティクスで腸内環境を整えることによって、子どものアトピー性皮膚炎への効果について報告しました。

◆腸内環境を整えるには?

腸内環境を改善する方法の1つに、シンバイオティクスがあります。シンバイオティクスとは、乳酸菌飲料のような体に良い影響を与える微生物(プロバイオティクス)と腸内細菌のバランスを維持する食品(プレバイオティクス)を組み合わせた食品や薬のことです。

研究チームは、シンバイオティクスで腸内環境を整えることによるアトピー性皮膚炎への影響を調べました。

 

◆臨床試験に関する8件の論文を調査

研究チームは、これまでに書かれた研究論文の調査を行いました。アトピー性皮膚炎の予防や治療に対するシンバイオティクスの影響について書かれた論文を選択しました。その中から、シンバイオティクスを食べることでアトピー性皮膚炎の重症度の変化を調べた論文8件を対象に調査を行いました。

8件のうち6件からは、アトピー性皮膚炎の子ども計369人を対象に、シンバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の症状への治療効果を評価しました。8件のうち2件からは、健康な子ども計1,320人を対象に、シンバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の発症に対する予防効果を評価しました。

 

◆アトピー性皮膚炎の症状がシンバイオティクスで軽減

治療効果について、以下のことが分かりました。

ランダム効果モデルのメタ解析に含まれた6件の治療研究から、シンバイオティクスを用いた8ヶ月間の治療によるSCORAD指数の全体でプールした変動は-6.56だった(95%信頼区間:-11.43から-1.68、P=0.008)。

シンバイオティクスを食べると、アトピー性皮膚炎の症状の重症度が低下することが示されました。

また予防効果について、以下のことが分かりました。

[...]2件の予防研究から、プラセボと比較してシンバイオティクスを摂取した際のアトピー性皮膚炎の蓄積された相対危険度は、0.44だった(95%信頼区間:0.11から1.83、P=0.26)。

有効成分のないプラセボを食べたときと比較して、シンバイオティクスを食べると、アトピー性皮膚炎の発生が少ない結果が出ましたが、統計的に偶然でないとは言えない水準でした

 

アトピー性皮膚炎の子どもは多いですが、ステロイドなどの治療薬による副作用を不安に思う患者さんも多くいます。シンバイオティクスの効果は、アトピー性皮膚炎に対する治療の助けになるかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Synbiotics for Prevention and Treatment of Atopic Dermatitis: A Meta-analysis of Randomized Clinical Trials.

JAMA Pediatr. 2016 Jan 25. [Epub ahead of print]

[PMID: 26810481]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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