◆まだ症状が出ていない人を調査
研究班は、香港でもともと健康な人を追跡調査することにより、家庭の中でインフルエンザウイルスに感染した人について、症状が出るよりも前からの経過のデータを得ました。127人の対象者について、体の外にウイルスが排出された時期と、症状が現れた時期の関係がまとめられました。
◆B型は一致しない
次の結果が得られました。
インフルエンザA型ウイルス感染によるウイルス排出は、臨床的病日の最初の1日から2日にピークがあり、しだいに低下して6病日から7病日までに検出不能なレベルになり、臨床症状の動態と密に一致した。インフルエンザB型ウイルス感染によるウイルス排出は、症状が現れるよりも最大2日前には上昇し、二峰性に発症後6日から7日まで持続した。
インフルエンザA型ウイルスが感染した場合、症状が現れて強くなる時期と、ウイルスの排出量が多くなる時期はよく一致しました。しかし、インフルエンザB型ウイルスが感染した場合は、最初に症状が現れるよりも前からウイルス排出が見られました。
インフルエンザB型ウイルスが流行しているときには、症状がない人からも感染するおそれがあるようです。この点からも、ワクチンや手洗いによる予防は、周りにインフルエンザにかかった人がいないときから実践するべきと言えるのかもしれません。
執筆者
The Dynamic Relationship Between Clinical Symptomatology and Viral Shedding in Naturally Acquired Seasonal and Pandemic Influenza Virus Infections.
Clin Infect Dis. 2016 Feb 15.
[PMID: 26518469]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。