脳卒中後のバランス能力に、目を閉じてトレーニングを行った効果は?

脳卒中患者のリハビリでは、トレッドミル(ランニングマシーン)を使って歩く練習を行うことがあります。この研究は、目を閉じてトレッドミルを歩く練習を行うと、歩く能力やバランス能力が変化するか、検証しました。
◆脳卒中患者30人を対象に実施
この研究は、脳卒中患者30人を、目を閉じてトレッドミルを歩く群(閉眼トレーニング群)と、目を開いてトレッドミルを歩く群(開眼トレーニング群)に分けて実施しました。トレーニングは、1回40分を週3回実施し、4週間継続しました。
◆目を閉じてトレッドミルトレーニングをすると歩行能力が改善する?
結果は、以下の通りでした。
トレッドミルトレーニング後、閉眼トレッドミルトレーニング群は、開眼トレッドミルトレーニング群と比較し、歩行距離、ステップ長や変動係数、安定性限界が
有意 に改善した[...]。
目を閉じてトレッドミルトレーニングを行うと、目を開けて行った群と比較して、歩行能力やバランス能力が向上する結果となりました。
健常な人でも、目を開いた状態より、閉じた状態の方が、バランスが悪くなります。その状態で練習をしたことで、より厳しいトレーニングになったのかもしれません。実際に目を閉じてトレッドミルトレーニングを行うときには、懸架装置を使うなど、転倒しないように配慮が必要ですが、トレーニングの一つとして考えてみても良いかもしれません。
執筆者
Effects of treadmill training with the eyes closed on gait and balance ability of chronic stroke patients.
J Phys Ther Sci. 2015 Sep.
[PMID: 26504328]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。