◆クラリスロマイシンと心筋梗塞の関係は?
研究班は、香港の診療データベースを使って統計解析を行いました。クラリスロマイシンを使った人と、別の種類の抗菌薬であるアモキシシリンを使った人を比較して、心筋梗塞や不整脈などの頻度が調べられました。
◆14日以内の心筋梗塞が多い
次の結果が得られました。
抗菌薬治療の開始から14日後の心筋梗塞の率比は、クラリスロマイシン使用(132件のイベント、1,000人年あたり44.4件)とアモキシシリン使用(149件のイベント、1,000人年あたり19.2件)の比較で傾向スコアで調整して3.66(95%信頼区間2.82-4.76)だった。しかし、長期的なリスク増加は観察されなかった。
クラリスロマイシンを使い始めてから14日以内に心筋梗塞を起こした人の割合は、アモキシシリンを使った場合に比べて3.66倍程度大きいと見られました。
この結果は、クラリスロマイシンを使うときに注意するべき点に関わってくるかもしれません。
なお、クラリスロマイシンとアモキシシリンは作用が違い、標的とする細菌の種類によって使い分けられます。細菌の中には通常クラリスロマイシンが使われアモキシシリンでは治療できないものもあり、クラリスロマイシンは感染症治療全体の中で重要な位置を占めています。
副作用を恐れるあまり必要な治療までためらうのではなく、予想される効果とリスクのバランスを適切に判断して使うことが大切です。
執筆者
Cardiovascular outcomes associated with use of clarithromycin: population based study.
BMJ. 2016 Jan 14.
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。