牛乳を飲んで大腸菌に抵抗できるか?

牛乳の脂肪球膜という成分は、病原菌の増殖に影響すると言われています。そこで、研究班は、市販の加熱殺菌された牛乳が下痢を起こす大腸菌に対する抵抗性を向上させるかを調べました。
◆健康な成人が対象
健康な成人を、乳タンパク質濃度が高い牛乳を1日2回飲むグループと対照(乳タンパク質を含まない飲み物)を1日2回飲むグループのいずれかに分けました。2週間後、参加者には毒性を弱めた下痢を起こす大腸菌を生きたまま飲んでもらいました。
◆牛乳を飲んだグループの結果
牛乳を飲んだグループでは、下痢を起こす大腸菌を飲んだ後では、糞便が増加し、その糞便の乾燥重量は低く、排便の回数および胃腸の不調が増加しました。次の日には、排便の回数と胃腸の不調が減少しました。対照グループでは、これらの症状が牛乳を飲んだグループより少ないという結果になりました。
毒性を弱めた大腸菌は、一時的ではあるものの軽い食物性感染を引き起こしました。この結果では、牛乳を飲むことにより、かえって胃腸に不調が生じてしまいました。牛乳には多くの役に立つ栄養素が含まれていると言われていますが、大腸菌に抵抗する力については、安易に期待しないほうがいいかもしれません。
執筆者
Dietary Milk-Fat-Globule Membrane Affects Resistance to Diarrheagenic Escherichia coli in Healthy Adults in a Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Study.
J Nutr. 2015 Dec 23.
[PMID: 26701793]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。