2016.01.12 | ニュース

高齢者の人工股関節手術後の痛みに、セレコキシブが有効

64人の治療により検討

from Experimental and therapeutic medicine

高齢者の人工股関節手術後の痛みに、セレコキシブが有効の写真

高齢者に多い股関節骨折や変形性股関節症の治療に、股関節を、金属やセラミック、ポリエチレンなどでできた人工股関節に入れ替える手術があります。手術後の痛みを抑えるセレコキシブの効果が研究されました。

♦︎64人の患者を治療して検証

人工股関節手術後の患者64人が対象となりました。対象者を2群に分け、一方はセレコキシブ400mgを術前に、術後に200mgを12時間おきに5日分飲む群としました。もう一方は形を似せたプラセボを飲む群としました。痛みを抑えるために必要に応じてモルヒネ(医療用麻薬)の点滴も使うこととし、術前、術後の痛みの改善を検討しました。

 

♦︎セレコキシブ服薬による改善効果

その結果は次のようになりました。

セレコキシブ群の股関節全置換術後の痛みが術後12、24、48、72時間後で統計学的に有意に低下した。術後のHarris Hip Scoreに有意な差はなかった。歩行改善までの期間は、セレコキシブ群(4.5±1.2日)がコントロール群(5.83±2.04日; P<0.05)よりも統計学的に有意に短かった。モルヒネの消費量は、コントロール群と比べセレコキシブ群で術後6、12、24、24[原文ママ]時間後で統計的に有意に減少した。

高齢者の手術前後のモルヒネとセレコキシブ服薬の併用は、モルヒネのみに比べて、モルヒネの量が少なく済み、痛みを和らげ早期に歩行改善する結果となりました。

 

この研究から、麻薬による痛みの管理に加えてセレコキシブを用いることで、麻薬の量を減らすことができ、患者の痛みが和らぐ可能性が示されました。痛みの管理は大切な問題です。ほかの薬についても検討された報告を期待します。

執筆者

宮本 知明

参考文献

Efficacy of celecoxib for acute pain management following total hip arthroplasty in elderly patients: A prospective, randomized, placebo-control trial.

Exp Ther Med. 2015 Aug

[PMID: 26622385]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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