♦︎64人の患者を治療して検証
人工股関節手術後の患者64人が対象となりました。対象者を2群に分け、一方はセレコキシブ400mgを術前に、術後に200mgを12時間おきに5日分飲む群としました。もう一方は形を似せたプラセボを飲む群としました。痛みを抑えるために必要に応じてモルヒネ(医療用麻薬)の点滴も使うこととし、術前、術後の痛みの改善を検討しました。
♦︎セレコキシブ服薬による改善効果
その結果は次のようになりました。
セレコキシブ群の股関節全置換術後の痛みが術後12、24、48、72時間後で統計学的に有意に低下した。術後のHarris Hip Scoreに有意な差はなかった。歩行改善までの期間は、セレコキシブ群(4.5±1.2日)がコントロール群(5.83±2.04日; P<0.05)よりも統計学的に有意に短かった。モルヒネの消費量は、コントロール群と比べセレコキシブ群で術後6、12、24、24[原文ママ]時間後で統計的に有意に減少した。
高齢者の手術前後のモルヒネとセレコキシブ服薬の併用は、モルヒネのみに比べて、モルヒネの量が少なく済み、痛みを和らげ早期に歩行改善する結果となりました。
この研究から、麻薬による痛みの管理に加えてセレコキシブを用いることで、麻薬の量を減らすことができ、患者の痛みが和らぐ可能性が示されました。痛みの管理は大切な問題です。ほかの薬についても検討された報告を期待します。
執筆者
Efficacy of celecoxib for acute pain management following total hip arthroplasty in elderly patients: A prospective, randomized, placebo-control trial.
Exp Ther Med. 2015 Aug
[PMID: 26622385]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。