◆亜鉛で培養するとアレルギー反応はどうなる?
研究班は、アレルギー反応がある人とない人の血液から、それぞれアレルギーに関わっている細胞を取り出し、亜鉛を与えて培養したときと、亜鉛なしで培養したときで、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)に対する反応に違いがあるかを調べました。
◆アレルギー反応をセーブ
次の結果が得られました。
50μmol/lの硫化亜鉛(Zn50)で培養することにより、CD3陽性T細胞のサイトゾル内亜鉛濃度は増加した。データから、Zn50とアレルゲンの組み合わせが、アトピー患者で血中単核細胞の増殖を有意に減少させることも示された。さらに、Zn50とアレルゲンの組み合わせは、IFN-γ/IL-10比の増加に表されるTh1サイトカインの応答を強化した。アトピー患者において、アレルゲンへの反応で、亜鉛は制御性T細胞を増加させ、CTLA4のmRNA発現を上方制御した。
亜鉛を与えて細胞を培養したとき、免疫の過敏反応が抑えられる変化が見られました。
亜鉛を使った治療に結びつくかどうかは確かではありませんが、亜鉛は過敏反応に何かの影響を与えるのかもしれません。
アトピー性皮膚炎などのアレルギー反応には、いくつかの治療法が知られていますが、人によって効果が出にくい場合や、副作用のため治療法が制限される場合もあります。この研究のような着眼点に、新しい治療法の生まれるきっかけがあるかもしれません。
執筆者
Zinc enhances the number of regulatory T cells in allergen-stimulated cells from atopic subjects.
Eur J Nutr. 2015 Nov 20 [Epub ahead of print]
[PMID: 26589301]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。