2015.11.19 | ニュース

救急で吐き気止めの薬は効かない?

救急患者を対象としたメタアナリシスにより検証

from The Cochrane database of systematic reviews

救急で吐き気止めの薬は効かない? の写真

救急科を受診したとき、吐き気や嘔吐の症状があると、吐き気止めの薬が使われることがあります。今回の研究では、吐き気止めに使われる複数の薬が吐き気の程度に効果があるか検証しました。

◆吐き気止めの薬は吐き気に効果があるのか?

今回の研究では、過去の8つの研究をまとめ、救急で成人患者に使われたときの吐き気止め薬の効果を検証しました。 吐き気止めの薬は、以下のものを検証しました。

  • メトクロプラミド
  • オンダンセトロン
  • プロクロルペラジン
  • プロメタジン
  • ドロペリドール

 

◆ドロペリドール以外の吐き気止め薬は効果なし

プラセボ薬と処方薬を比較すると、吐き気止め薬を飲む前と飲んだ30分後の吐き気の程度に差があった薬はドロペリドールのみでした。しかし、そのドロペリドールもひとつの研究でしか検討されていませんでした。なお、重篤な副作用は見られないという結果でした。

この結果を受けて著者らは、「プラセボ治療を受けた対象者は、吐き気の有意な臨床的改善をよく報告したが、これは静脈輸液のような一般的な支持療法でも多くの人には十分である可能性を示す」と述べています。

 

救急科を受診した患者に吐き気止め薬を処方しても、いくつかの薬では平均して効果が見られないという研究結果でした。一方で、統計的には効果がないと判断されても、臨床現場においては人によって有効であることも考えられます。「吐き気があるから吐き気止め」という単純な考えではなく、一般的な治療とも比べて吐き気止めの役割をよく検討することが必要なのかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Drugs for the treatment of nausea and vomiting in adults in the emergency department setting.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 28

[PMID: 26411330]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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