◆ほかの薬が効かなかった人が対象
この研究では、日本の成人の2型糖尿病患者で、ほかの糖尿病治療薬(スルホニルウレア系薬またはビグアナイド系薬)の治療を受けたにもかかわらず、糖尿病の状態を反映するHbA1cの値が7.0-10.0%と高い水準である人361人が対象となりました。
対象者は、デュラグルチドで治療されるグループと、インスリンで治療されるグループにランダムに分けられ、26週間の治療を受けました。
◆HbA1cと体重が減少、鼻咽頭炎と胃腸症状あり
次の結果が得られました。
26週時点で、HbA1cの減少量の最小二乗平均(標準誤差)はデュラグルチド群で-1.44(0.05)%[-15.74(0.55)mmol/mol]であり、グラルギン群では-0.90(0.05)%[-9.84(0.55)mmol/mol]だった。HbA1cの群間の平均差は-0.54%(95%信頼区間-0.67から-0.41、p < 0.001)[-5.90 mmol/mol (95%信頼区間-7.32から-4.48)]だった。デュラグルチドはグラルギンに比べて26週時点で体重を有意に減少させた(最小二乗平均差-1.42 kg、95%信頼区間-1.89から-0.94、p < 0.001)。デュラグルチド治療で最も頻繁に見られた有害事象は鼻咽頭炎と胃腸症状だった。低血糖の発生率はグラルギン(180人中86人、48%)と比べてデュラグルチドで有意に低かった(181人中47人、26%、p < 0.001)。
グラルギンを使ったグループよりも、デュラグルチドを使ったグループのほうが、HbA1cが減少し、また体重も減少しました。
血糖値を下げる治療で特に注意が必要と言われる、血糖値が一時的に下がりすぎてしまう状態(低血糖)はインスリンのグループで48%、デュラグルチドのグループで26%と、デュラグルチドのほうが少なくなりました。ほかに副作用の可能性があることとして、デュラグルチドのグループで鼻咽頭炎、胃腸症状が見られました。
糖尿病治療薬には多くの種類があり、患者の状態にあわせて使い分けられます。デュラグルチドは日本では2015年7月に承認され、今後はここで挙げられた効果や週1回の注射という用法が適した人の治療で役に立つことになるかもしれません。
執筆者
Efficacy and safety of once-weekly dulaglutide in combination with sulphonylurea and/or biguanide compared with once-daily insulin glargine in Japanese patients with type 2 diabetes: a randomized, open-label, phase III, non-inferiority study.
Diabetes Obes Metab. 2015 Oct
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。