◆大動脈解離・大動脈瘤との関連を解析
研究班は、台湾の患者のデータベースを参照して、大動脈瘤または大動脈解離で入院した患者と、そうではない人(対照群)を比較することにより、フルオロキノロンを使うことと大動脈瘤または大動脈解離に関連があるか、統計解析を行いました。
◆過去の使用でも使用中でもリスク増
次の結果が得られました。
傾向スコアで調整したうえで、フルオロキノロンの使用中であることは大動脈瘤または大動脈解離のリスク増加と関連が見いだされた(率比2.43、95%信頼区間1.83-3.22)。以前の使用歴についても、リスクは減弱したが、関連が見られた(率比1.48、95%信頼区間1.18-1.86)。
フルオロキノロンを使用中の人では大動脈瘤または大動脈解離が2倍以上多く、以前にフルオロキノロンを使ったことがある人でも大動脈瘤または大動脈解離が多くなっていました。
この研究の方法では、フルオロキノロンが大動脈瘤・大動脈解離の原因かどうかは断定できません。フルオロキノロンを使う理由になった感染症が関係していないか、フルオロキノロンを使った人の特徴に偏りがなかったかなど、ほかの要因も同時に考えたうえで結果を読み解く必要があります。
フルオロキノロンの安全性について、これだけで結論は出せませんが、注意を引く報告です。
執筆者
Risk of Aortic Dissection and Aortic Aneurysm in Patients Taking Oral Fluoroquinolone.
JAMA Intern Med. 2015 Nov 1
[PMID: 26436523]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。