発症48時間以内の開頭外減圧療法で1年後の生存率が3割から8割に
片側の脳梗塞に対する48時間以内の開頭外減圧術が『脳卒中治療ガイドライン2015』で勧められています。今回はその根拠となった2007年の論文を紹介します。
◆3つのランダム化研究から外減圧術の有効性を検証
開頭外減圧術とは、脳梗塞によって頭蓋骨のなかの圧が高くなり脳にさらにダメージを与えることを防ぐため、頭蓋骨の一部を切ることでその圧を減らす手術方法です。
今回の研究は、3つのランダム化研究をプール解析し、中大脳動脈の
◆障害重症度と1年生存率を改善
調査の結果、以下のことを報告しました。
対照群と比較して外減圧術を行った群で、より多くの患者がmRSが4以下(75% vs 24%、プールされた絶対リスク減少51%、95%信頼区間34-69)、またはmRSが3以下であり(43% vs 21%、プールされた絶対リスク減少23%、95%信頼区間5-41)、生存率が高く(78% vs 29%、プールされた絶対リスク減少50%、95%信頼区間33-67)、mRS4以下の生存についてNNTが2、mRS3以下の生存では4、機能的アウトカムを考慮しない生存については2であった。
外減圧術を行うと、1年後の障害重症度や生存率を改善し、2件の手術ごとに1年後の生存者が1人増えたという結果でした。
著者らは、「悪性中大脳動脈梗塞の患者では、脳卒中
外減圧術は、年齢、脳梗塞の範囲(中大脳動脈領域を含む)などいくつかの評価を踏まえて適応となるか決定します。脳梗塞に関する手術の種類は多くはないですが、こうした根拠から適したものが選ばれています。
執筆者
Early decompressive surgery in malignant infarction of the middle cerebral artery: a pooled analysis of three randomised controlled trials.
Lancet Neurol. 2007 Mar
[PMID: 17303527]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。