脂肪肉腫・平滑筋肉腫を治療、トラベクテジンの効果は

脂肪肉腫や平滑筋肉腫というまれな種類のがんは、手術で取り除けることもありますが、転移がある場合は治療が難しくなります。転移があり、化学療法でも十分な効果が得られなかった場合を対象として、トラベクテジンによる治療の研究が行われました。
◆最初の化学療法で効果が十分でなかった人が対象
研究班は、進行した脂肪肉腫または平滑筋肉腫があり、
対象者はランダムに2つのグループに分けられ、トラベクテジンまたは、ダカルバジンという別の薬を使って治療されました。
◆無増悪生存期間が延長
次の結果が得られました。
無増悪生存期間の最終解析において、トラベクテジンの使用により、ダカルバジンに比べて疾患の進行または死亡のリスクは45%減少した(無増悪生存期間の中央値がトラベクテジン群で4.2か月、ダカルバジン群で1.5か月、ハザード比0.55、P<0.001)[...]。
安全性のプロファイルはこれらの薬剤のよく知られた毒性と整合的であり、最も多く見られたグレード3または4の有害事象は、トラベクテジン群の
骨髄 抑制とトランスアミナーゼの一次的上昇だった。
ダカルバジンを使ったグループよりも、トラベクテジンを使ったグループのほうが、病気がさらに進行することなく生存した期間が長くなっていました。未知の深刻な副作用は報告されませんでした。
研究班は「[...]この研究はこれらの悪性疾患の患者に対してトラベクテジンの活性を支持する」と結論しています。
ほかの治療法で効果が得られない場合の選択肢が増えれば、恩恵を受ける患者がいるかもしれません。トラベクテジンは日本では未承認ですが(2015年9月時点)、ここで示された結果は将来参照されるかもしれません。
執筆者
Efficacy and Safety of Trabectedin or Dacarbazine for Metastatic Liposarcoma or Leiomyosarcoma After Failure of Conventional Chemotherapy: Results of a Phase III Randomized Multicenter Clinical Trial.
J Clin Oncol. 2015 Sep 14 [Epub ahead of print]
[PMID: 26371143]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。