2015.09.22 | コラム

幹細胞とは何か?(1)体細胞と生殖細胞との違い

人間の体はどんな細胞でできているか
幹細胞とは何か?(1)体細胞と生殖細胞との違いの写真
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このコーナーでは、山中伸弥・京都大学教授が開発に成功し、ノーベル賞受賞にまで結び付いた「iPS細胞」など、近年話題になり続けている「幹細胞」について、ご紹介していきます。

私たち人間の体は「細胞」からできています。細胞とは、人間に限らず多くの生物で最も基本的な構成要素です。大きさは、その種類によって異なります。人間の場合、最も大きな卵子で0.2ミリメートル、最も小さな精子で0.0025ミリメートル、そのほかは0.01〜0.1ミリメートルといったところです。細胞の中心には「核」と呼ばれる器官があり、その周囲を「細胞膜」が覆っています。「核」には「染色体」という糸状の物質があり、ここに遺伝情報が書き込まれています。

その細胞を、私たち人間は何個持っているのでしょうか? 教科書などでは「約60兆個」と書かれていることが多いのですが、最近の研究では、「約37兆2000億個」という試算も出ています。

細胞にもいろいろなものがあり、私たち人間の体は、約200〜230種類の細胞から構成されているといわれます。

最も基本的な細胞の分類方法は、「体細胞(somatic cell)」か、それとも「生殖細胞(reproductive cell)」か、という分け方です。

体細胞とは、脳や筋肉、内臓、骨、皮膚といった体を構成する細胞のことです。体のあらゆる機能の基本単位です。

一方、生殖細胞とは、具体的には精子や卵子のことで、生殖、つまり子づくりの基本単位であり、親の遺伝情報を子どもに伝える役割を持っています。

体細胞と生殖細胞との最も大きな違いは、染色体の数です。生殖細胞は体細胞の半分しか染色体を持っていません。人間の体細胞の核には46本の染色体がありますが、生殖細胞には23本しかありません。生殖細胞のもとになる細胞(一次卵母細胞、一次精母細胞)は「減数分裂」といって、自らの染色体を半分ずつしか持たない細胞2個に分裂します。こうしてできた、染色体を23本ずつ持つ細胞(二次卵母細胞、二次精母細胞)が分裂して精子や卵子になります。したがって精子や卵子の染色体は23本ずつということなります。

精子と卵子が受精し、父親由来の23本、母親由来の23本の染色体が結合することによって、46本の染色体を持つ受精卵となります。その受精卵が発生(分裂、分化、増殖)し、200〜230種類の体細胞からなる個体となります。

ところで「生殖細胞系(germ line)」という言葉もあります。これは本来、「始原生殖細胞」と呼ばれる細胞から生殖細胞に至る過程すべてを意味する言葉です。しかし最近、「ゲノム編集」という新しい技術が説明されるときには、精子と卵子に加えて、受精卵や胚を含めたものを「生殖細胞系」と呼ぶことがあります。これらの細胞や胚はゲノム編集、つまり遺伝子に何らかの改変を行なうと、その改変された遺伝情報が次の世代の個体に伝わるという共通点があるため、ひとまとめにするために「生殖細胞系」という言葉が使われているものと思われます。

 

体細胞と生殖細胞の違いは、新しい生命科学技術が登場し、その「倫理」が問われるときには、必ず問題になる違いでもあります。

次回は「幹細胞」とは何かを解説します。

執筆者

粥川 準二

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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