◆急性胆石性膵炎へのERCPとESの効果を検証
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を用いて胆のうや膵臓に造影剤を送り込み、画像を撮影する方法のことです。内視鏡的乳頭括約筋切開術(ES)は、胆汁や膵液の通り道である十二指腸乳頭の開閉に働く筋肉を切開し、胆石によってせき止められた胆汁や膵液が流れ出るようにする方法です。
今回の研究では、胆石が原因で発症する急性膵炎に対し、ERCPとESを実施することで死亡率が変化するか検証した4つの研究をまとめました。
◆ERCP+ESを実施すると死亡率が低下する
以下の結果が得られました。
ERC+ESにより、合併症に対して34.6%の相対リスク減少と死亡に対する42.9%の相対リスク減少が見られ、絶対リスク減少はそれぞれ合併症で13.2%(95%信頼区間6.9-19.5%)、死亡で3.9%(95%信頼区間0.35-7.45%)であった。
急性膵炎に対し、ERCPを用いたESを実施すると、急性膵炎に付随して起こる病気のリスクや死亡率が改善したという結果でした。
この結果も踏まえて、『急性膵炎診療ガイドライン2015』では、「急性胆石性膵炎のうち、胆管炎合併例、胆道通過障害の遷延を疑う症例には、早期のERCP/ESを施行すべきである。該当しない症例に対する早期ERCP/ES施行の有用性は否定的である。」と記載されています。
執筆者
Metaanalysis of randomized controlled trials of endoscopic retrograde cholangiography and endoscopic sphincterotomy for the treatment of acute biliary pancreatitis.
Am J Gastroenterol. 1999 Nov
[PMID: 10566716]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。