2015.08.31 | ニュース

重症肺炎の子どもを救命、バブルCPAPがバングラデシュで活躍

225人のランダム化試験
from Lancet (London, England)
重症肺炎の子どもを救命、バブルCPAPがバングラデシュで活躍の写真
(C) Zsolt Biczó - Fotolia.com

バブルCPAPは、子どもに簡単な装置で酸素吸入ができる治療法として知られています。バングラデシュの病院で、重症の肺炎の子どもを治療する研究が行われ、バブルCPAPでは低流量酸素療法よりも治療失敗が少ないという結果が得られました。

◆重症肺炎で低酸素血症、5歳未満の子どもが対象

この研究は、5歳未満で、重症の肺炎があり、血中の酸素が少ない状態に陥った子どもを対象として、酸素を与える治療の方法による違いを調べました。

対象となった225人の子どもは、バブルCPAP、低流量酸素療法(鼻に入れる管から酸素を送り込む方法)、高流量酸素療法のどれかで治療されるようにランダムに分けられました。

 

◆バブルCPAPで低流量酸素療法よりも治療失敗が少ない

次の結果が得られました。

治療は31人(14%)の子どもに対して失敗し、うち5人(6%)はバブルCPAP、16人(24%)は低流量酸素療法、10人(13%)は高流量酸素療法を受けていた。低流量酸素療法群に比べてバブルCPAP群では治療失敗が有意に少なかった(相対リスク0.27、99.7%信頼区間0.07-0.99、P=0.0026)。バブルCPAP群と高流量酸素療法群の患者の間に治療失敗の差は見られなかった(相対リスク0.50、99.7%信頼区間0.11-2.29、P=0.175)。

気管挿管が必要になるなどの治療失敗は、対象者のうち14%で起こりましたが、バブルCPAPで治療されたグループでは、低流量酸素療法で治療されたグループよりも治療失敗が少なくなっていました。バブルCPAPと高流量酸素療法には違いが見られませんでした。

研究班はこの結果をもとに、「バブルCPAPによる酸素療法は、重症の小児肺炎と低酸素血症に対する呼吸管理法が低流量酸素療法に限られる発展途上国の病院においては大きな影響をもたらしうる」と述べています。

 

高流量酸素療法では多くの酸素を消費するため、発展途上国では必ずしもそれだけの医療資源が準備できるとは限りません。バブルCPAPが役に立つ場面について、こうした検討が実践を改善するための役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Bubble continuous positive airway pressure for children with severe pneumonia and hypoxaemia in Bangladesh: an open, randomised controlled trial.

Lancet. 2015 Aug 18 [Epub ahead of print]

[PMID: 26296950]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。