◆血圧と心血管疾患リスクの関連を検証
血圧ステージは、高血圧治療ガイドラインにおいて血圧の高さを6段階に区切ったものです。収縮期血圧(最高血圧)/拡張期血圧(最低血圧)が、至適血圧(120mmHg/80mmHg未満)、正常血圧(130/85未満)、正常高値血圧(130-139/85-89)、I度高血圧(140-159/90-99)、II度高血圧(160-179/100-109)、III度高血圧(180/110以上)と規定されています。
この研究では、5,494名の日本人を対象に、血圧のステージと心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)リスクの関連を検証しました。
◆男性では至適血圧と比べて、それよりも血圧が高い群では心血管疾患リスクが高い
調査の結果、以下のことを報告しました。
至適血圧群と比較して、心血管疾患リスクの多変量ハザード比(95%信頼区間)は、正常血圧、正常高値血圧、I度高血圧、II度高血圧以上でそれぞれ、男性では2.04(1.19-3.48)、2.46(1.46-4.14)、2.62(1.59-4.32)、3.95(2.37-6.58)、女性では1.12(0.59-2.13)、1.54(0.85-2.78)、1.35(0.75-2.43)、2.86(1.60-5.12)であった。
各血圧カテゴリーにおける心筋梗塞と脳卒中のリスクは心血管疾患リスクと類似していた。
血圧が120/80未満の群と比べると、男性では、血圧120/80以上のステージすべてにおいて、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高く、女性では、血圧160/100以上でのみリスクが高い結果でした。
筆者らは、「血圧正常高値は、一般的な都市部に住む日本人男性において、脳卒中、心筋梗塞の発症リスク因子である。」と結論付けています。
血圧120/80未満より少しでも高いと、男性では正常範囲内の血圧であったとしても、心筋梗塞や脳卒中の危険が高くなるという論文でした。
高血圧と診断されていなくても、血圧が少し高い人は気を付けたほうがよいのかもしれません。血圧を下げる薬の効果を別に紹介する予定です。
執筆者
Impact of high-normal blood pressure on the risk of cardiovascular disease in a Japanese urban cohort: the Suita study.
Hypertension. 2008 Oct
[PMID: 18725580 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。