◆特発性肺線維症患者をランダム化
研究班は、ニンテダニブの効果を調べる2件の研究を同様の方法で行いました。対象者は特発性肺線維症の患者で、ニンテダニブを飲むグループと、偽薬を飲むグループにランダムに振り分けられ、52週間の治療の結果を比較されました。
◆努力肺活量の低下が少なく
試験から次の結果が得られました。
計1,066人の患者が3:2の比でニンテダニブ治療を受ける群と偽薬治療を受ける群に割り付けられた。努力肺活量の調整した年間の変化率は、INPULSIS-1研究ではニンテダニブ群で-114.7mL、偽薬群で-239.9mL(差は125.3mL、95%信頼区間77.7-172.8、P<0.001)であり、INPULSIS-2研究ではニンテダニブ群で-113.6mL、偽薬群で-207.3mL(差は93.7mL、95%信頼区間44.8-142.7、P<0.001)だった。
ニンテダニブ群で最も頻繁に見られた有害事象は下痢で、INPULSIS-1研究ではニンテダニブ群の61.5%と偽薬群の18.6%、INPULSIS-2研究ではニンテダニブ群の63.2%と偽薬群の18.3%に見られた。
2件あわせて1,066人の参加者について、ニンテダニブを飲むグループのほうが、偽薬のグループよりも呼吸機能のうち努力肺活量の低下が少なくなっていました。
特発性肺線維症によって呼吸機能が低下すると、日常生活に支障を来したり、酸素吸入が必要になることもあります。治療の選択肢が少ない中で、ニンテダニブが加わったことは助けになるかもしれません。
執筆者
Efficacy and safety of nintedanib in idiopathic pulmonary fibrosis.
N Engl J Med. 2014 May 29
[PMID: 24836310]
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