2015.07.10 | ニュース

運動をしても膝に悪くないのか?変形性膝関節症、人工膝関節全置換術との関連を調査

49件のシステマティックレビュー

from Osteoarthritis and cartilage / OARS, Osteoarthritis Research Society

運動をしても膝に悪くないのか?変形性膝関節症、人工膝関節全置換術との関連を調査の写真

肥満対策など多くの面で運動は健康に良いとされていますが、膝の痛みがある人には過大な負担になるのではないかという心配もあります。イギリスの研究班が、文献の調査から、これまで膝の痛みなどがある人について3か月以上の運動の安全性を調べた研究では、悪影響は報告されていなかったとまとめました。

◆過去の研究を検証

研究班は、論文データベースを検索し、中高齢で膝の痛みまたは変形性膝関節症がある人について、3か月以上の運動の安全性について情報が得られる研究を集めて検証しました。

 

◆悪影響の報告なし

研究の結果、見つかった49件の研究論文の内容が次のようにまとまりました。

集団のレベルで深刻な有害事象、痛みの増加、身体機能の低下、画像上の構造に見える変形性膝関節症の悪化、人工膝関節全置換術の頻度増加を示す根拠はなかった。1件の症例対照研究は習慣的身体運動が人工膝関節全置換術への進行のリスク減少と関連すると結論していた。

運動による痛みや身体機能の悪化など、悪い結果の割合が増えたとするデータは見つかりませんでした。1件の研究では、運動をした人では膝の手術が必要になる割合が少ないとされていました。

研究班は「膝の痛みがある中高齢の成人の多くにとって、3か月から30か月の長期間の治療的運動は安全である」と結論しています。

 

膝の痛みを理由に運動をためらわなくてもよい、と考える根拠になりそうな結果が示されました。ただし、痛みの原因や程度、運動の強さなどによって当てはまらないことも考えられ、どんな人がどの程度運動するのが最適なのかは別の課題になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Is long-term physical activity safe for older adults with knee pain?: a systematic review.

Osteoarthritis Cartilage. 2015 May 21 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26003947]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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